村内に高校がないため、村外への通学が当たり前になっている恩納村の高校生にとって通学費用は大きな負担になっている。通学費を補助する村の事業実施に、保護者からは喜びの声が上がった。
恩納村の独自事業は、県の通学費支援や補助事業に該当しない生徒が対象だ。
読谷村の読谷高校に2人の子どもを通わせている女性(47)は、上の子どもの入学時、毎月1万4千円のバスの定期券代を支払っていた。進路選択に当たり通学時間や費用も考慮したといい、上の子は通学費が高額になるため希望校への進学を断念した。
現在、女性は自家用車で片道は送っているもののガソリン価格の高騰が家計に重くのしかかっている。女性は「高校は義務教育ではないが通わせるのが昨今の流れだ。(自分の家庭は)県の支援事業の対象外なので補助は助かる」と歓迎した。
同じ高校に通う子どものいる女性(40)は保護者間で通学費負担が話題に上ると明かし「県の事業対象でないと実費になるので厳しい。地元に高校がない恩納村民には切実な話だ」と語った。
県が公表した2022年度沖縄子ども調査によると、高校進学時の通学交通費の負担について、全体の41.0%が「非常に重視した」「やや重視した」と回答した。県は通学費の負担軽減に向け、住民税非課税世帯などの中高生を対象としたバス・モノレール通学費無料の支援を現在実施している。昨年度からは遠距離通学などで通学費負担が大きい中間所得層の生徒まで一部補助を広げ、1カ月当たりの通学費が1万5千円を超えた分を補助している。
村の担当者は事業について「子どもの数が減少しているので、定住促進に力を入れていきたい。村を活性化させていく人材を育成するために制度を有効活用してほしい」と話した。
(武井悠)