古謝景春南城市長のセクハラ疑惑を巡る訴訟に関する会見では、原告の女性がインターネット上でさらされる中傷被害の実態が代理人の弁護士の証言で明らかにされた。市長のフェイスブック(FB)への書き込みには、女性や家族に関する情報のほか、人格をおとしめる真偽不明の内容も含まれる。「不安でしょうがない」。市長の一方的な書き込みから広がるネット上のバッシングも女性を悩ませている。
「事実と異なる噓の発表してます」。市長は2月、自身のFBで、女性のセクハラ被害に関して南城市議会の議員らが行った県庁での会見についてこうコメントした。
同じ投稿で女性の家族関係について一方的に発信。「組織的に仕組まれた」などと女性の訴えの背景に意図があるかのような書き込みもあり、女性の身辺調査をしていることを匂わせるような内容もあった。市長の投稿には、支援者とみられる人物から「有力政治家をおとしめようとする動き」などと根拠不明のコメントも寄せられた。
女性の代理人である加藤裕弁護士は、これらの書き込みを「大部分が事実に反する」と指摘。ネット上での中傷被害は「拡散している」と説明した。女性は「このことで頭がいっぱいで不安でしょうがない」と訴えているといい、女性が受ける心身への負担も無視できない状況だという。
古謝市長は、ネット上での情報発信を活発に行う一方で、女性からの話し合いによる解決の提案を無視し、報道陣への対応を避ける場面もあるなど、問題に向き合う姿勢には偏りも目立つ。加藤氏は「真摯(しんし)に訴えを受け止める姿勢が見られない」と指摘。SNS上での中傷被害の拡大についても「刑事上も名誉毀損(きそん)になるといえる。どう対処するかは個々のケースで検討する」として法的対応を示唆した。
(安里洋輔)