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南城市長、セクハラ疑惑訴訟で「速やかな進行を」 政治的理由を主張 那覇地裁で初弁論 沖縄


南城市長、セクハラ疑惑訴訟で「速やかな進行を」 政治的理由を主張 那覇地裁で初弁論 沖縄 那覇地方裁判所(資料写真)
この記事を書いた人 琉球新報社

 「市長からセクハラを受けた」という申告から1年5カ月。申告後に市長車運転手の業務委託契約を解除された女性が、南城市と古謝景春市長を相手取った訴訟が16日、始まった。疑惑を否定する市長は「速やかな進行」を求めたが、客観的な第三者による調査を実施しなかったことが事態を長引かせている。

 那覇地裁で開かれた第1回口頭弁論。古謝市長と代理人は欠席したが、一般傍聴席28席に対し、2倍超の60人が傍聴を希望した。

 「女性は被害の救済を真摯(しんし)に求めている。市長に話し合いを求める書面を送ったが、なしのつぶてで無視だった。こうした対応は今後、問題にしないといけない」

 原告側代理人の加藤裕弁護士は意見表明で、このように古謝市長の対応に疑問をぶつけた。市長は14日付で提出した答弁書で、過去の市長選で65票差で落選したことや2026年2月に任期満了を迎えるといった自らの政治的理由を挙げて、「速やかな訴訟進行を求める」と主張していたからだ。

 一連の問題では、女性が22年12月に市に申告。古謝市長は当初、「すみませんでした」「私はいつでも辞める覚悟です」と女性にメッセージを送信。泉直人総務部長(当時)を通して、「不快な思いをさせたのであれば申し訳ないので謝りたい」と伝えていた。

 しかし、女性が第三者による調査や運転業務を続けられなくなったことの補償を求めると、市側はいずれも拒否して業務委託契約を解除。女性が23年4月に賠償を求める書面を送っても、市長は応答しなかったという。

 岐阜、愛知両県の自治体では第三者委の調査で、首長のセクハラ解明が進んだ。南城市職員の間でも「第三者委を早く設置して、事実関係を明らかにすべきだった」という声が出ている。

 古謝市長は16日、秘書課を通じ、「法に従って期日を守り、適切に対応している」とコメントした。一方、市側代理人の当山尚幸弁護士は本紙取材に、「利益相反が生じる可能性がある」とし、訴訟では市長側とは連携しない考えを示した。

(南彰、安里洋輔、普天間伊織)

セクハラ行為は「否定」「記憶がない」と主張 南城市長セクハラ疑惑訴訟で初弁論