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「生きて戦争を伝えて」 隊長との約束を語る 一高女生で体験 94歳翁長さん


「生きて戦争を伝えて」 隊長との約束を語る 一高女生で体験 94歳翁長さん 立ったままで沖縄戦の体験を語る翁長安子さん=18日、那覇市、ひめゆりピースホール
この記事を書いた人 Avatar photo 宮沢 之祐

 15歳のときに沖縄戦を経験した翁長安子さん(94)が18日、平和学習フィールドワークの参加者ら約80人に、むごたらしい戦場の様子と、そこで交わした約束について那覇市のひめゆりピースホールで語った。

 翁長さんは県立第一高等女学校の在学中に、永岡隊と呼ばれた特設警備第223中隊に従軍。首里の壕で看護に当たった。薬がなく治療されないまま多くの兵士が息絶え、戦車から壕に放たれた炎で焼かれた傷病兵もいたという。

 約50分間、つえを置いて座らずに語り続けた翁長さん。最後に、永岡隊の隊長で、安国寺住職だった永岡敬淳さんとの別れの様子を語った。「安子は生きてくれ。生きて、こんな戦があったことを伝えてくれ」。そう告げられ、首に数珠を掛けられたという。永岡さんはその後、自決。翁長さんは「頼まれたことを実行していく」とし、平和の大切さを訴えた。

 会場には、前ひめゆり平和祈念資料館長の島袋淑子さん(96)ら元学徒も訪れた。「どこで、どう亡くなったか分からない友達がいる。それが今もつらい」と目を潤ませた島袋さんも「平和が一番」と語った。

 フィールドワークは県平和祈念資料館友の会の主催。翁長さんがいた壕や水をくんだ松川樋川も巡った。参加した町立与那原東小学校5年の石垣葵琉さんは「翁長さんの最後の話が印象に残った。聞けて良かった」と話した。

 (宮沢之祐)