【糸満】糸満市摩文仁の平和祈念公園にあるダバオ之塔で19日、「第46回ダバオ之塔慰霊祭」(県フィリピン・ダバオ会主催)が開かれた。参加者の限定がない慰霊祭の開催は、新型コロナウイルス禍前の2019年以来5年ぶり。遺族ら約140人が参列し、太平洋戦争時にフィリピン・ミンダナオ島ダバオで亡くなった県出身者を追悼した。
慰霊祭で県フィリピン・ダバオ会の上原清会長は「大戦で亡くなられたみなさまのご冥福を心から念ずる。今日までの功績や苦難を基礎として、これからの社会に向けて前進し、発展をしていく決意だ」と弔辞を述べた。
ダバオ生まれの照屋光子さん(93)=那覇市=は、熱帯雨林を逃げ惑っている時に母を亡くした。遺骨は見つかっていない。光子さん自身は、心臓の手術を二度乗り越えた。元気で過ごせていることへのお礼の気持ちを伝えているという。焼香の際に、亡くした弟妹2人の名前を呼んで手を合わせた神谷利子さん(87)は「魂は来ているはず。連れてきてねと両親に願って、うーとーとーした」と振り返る。「戦争がなければ2人は死ななかった。戦争はだめ」と涙をこらえた。
父とおじ、妹2人を失った與那城隆さん(95)=金武町=は、7月に19年以来、5年ぶりに再開する「ダバオ慰霊と交流の旅」に参加する予定。與那城さんは「毎年、同じ気持ち。供養になる」と悼んだ。
(田中芳)