沖縄戦で略奪され、3月に米国から返還された歴代琉球国王の肖像画「御後絵(おごえ)」の修復方法を検討する県の有識者会議「返還文化財保存修復検討委員会」(委員長・田名真之県文化財保護審議会長)の第1回会議が23日、那覇市の県立博物館・美術館で開かれた。冒頭を除き非公開で行われた。会議後の記者会見で田名委員長は御後絵の歴史的、芸術的価値を明らかにした上で、最終的に国の重要文化財指定を目指す方針を確認したと発表した。
委員らは、激しい損傷を理由に、関係者向けのお披露目式で公開されなかった尚敬王と尚育王を含む4点の御後絵の実見をした上で、課題や今後の科学調査の進め方などについて意見交換した。田名委員長によると、尚敬王と尚育王の御後絵は一部損傷したり、カビが生えたりするなど状態が悪く、テープのようなもので補修している箇所もあるが「色彩は本当に鮮やかで大変驚いた」という。
委員会では本年度、顔料や紙の性質などを科学分析し、来年度の修復作業の着手を目指す。1点当たりの修復作業は約2年を見込むが、1点ずつしか着手できないため、4点の基礎調査と修復が完了するのに8年以上かかる見通し。最初の1点の一般公開は、早くて2027年度になる見込みだという。
県教育庁文化財課の瑞慶覧勝利参事兼課長は「御後絵に対する県民の関心は高まっている。できるだけ修復過程も開示できるようにしたい」と述べた。
委員会の第2回会合は今秋に行われる予定。
(当銘千絵)