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「場面緘黙の困難知って」 「おとなしい子」と症状を見過ごされがち 親の会が適切対応訴え 沖縄


「場面緘黙の困難知って」 「おとなしい子」と症状を見過ごされがち 親の会が適切対応訴え 沖縄 白間将太会長(前列右から2人目)と親の会のメンバーら=19日午後、糸満市のシャボン玉石けんくくる糸満
この記事を書いた人 Avatar photo 嶋岡 すみれ

 「緘黙(かんもく)の子は何かしたかったり、苦しかったりしても、言うことができない。緘黙の子が抱える困難を想像してほしい」―。沖縄本島かんもく親の会の白間将太会長(40)=糸満市は、講演会の最後のあいさつでそう訴えた。

 「おとなしい子」「人見知りなだけ」などと勘違いされ、症状を見過ごされがちな子どもたちの現状を知ってほしいと、切実な思いを吐露した。

 白間さんの小1~6の3人の娘たちは場面緘黙の症状がある。長女が通っていた保育園の先生から「(園では)一度も声を聞いたことがない」と言われたことが、場面緘黙について知るきっかけになった。当時は場面緘黙について社会的な認知度は低く、「家で甘やかしているから」と家庭に原因があるかのように見られたり、「いつか治る」と慰められ、早期に適切な対応を受けられなかったという。

 現在、長女と三女は通常学級に在籍しながら、必要に応じて別室で授業などを受ける「通級」を利用して学校に通い、指さしなどで意思表示をしている。小4の次女は、不安や緊張から体が動かせなくなる「緘動」の症状もある。手を引かないと動けなかったり、自分で食事を口元まで運んだりすることができないため、特別支援学級に在籍してサポートを受けながら学校生活を送っている。

 3人とも家の中など安心できる場面ではよく話し、3人一緒に遊んだり、けんかしたりとにぎやかだという。

 白間さんは「緘黙の子は園や学校では静かで、周りに迷惑をかけることはほとんどない。だからこそ対応が後回しになりがちだと思う」とした上で、「トイレに行きたいとか、どこが痛いとか、命に関わるような場面でも声を出すことができず、困っているのも事実だ」と述べ、日常生活で直面している困難について説明した。

 親の会は親同士のつながりを持ち、場面緘黙について社会に広く知ってもらおうと活動している。白間さんは「話すことは自分の存在、生きている証を示すことで、自分の命を守る手段でもある。緘黙の子どもたちの思いや背景を知り、適切な支援につなげてほしい」と訴えた。

 同会への問い合わせはkanmokuokinawa@yahoo.co.jp。

(嶋岡すみれ)