親の就労に関係なく子どもを預けられる「こども誰でも通園制度」が2026年度から全国で本格導入されるのを前に、浦添市と那覇市が試行的事業(モデル事業)導入へ向けた準備を進めている。県内初の運用となる浦添市のモデル事業は7月1日に始まる。5月末時点で同市の1園で実施し、35~40人の子どもの利用が決まる予定だ。
似た制度に「一時預かり事業」があるが、実施するかどうかは市町村に一任され、施設も限られる。一方、誰でも通園制度は生後6カ月~3歳未満の子どもを対象に全市町村で導入する予定だ。
浦添市は、2023年6月、約7年ぶりに一時預かり事業を市内2カ所で開始した。実施施設は数週間先まで予約が埋まる状況が続き、制度の必要性が明らかになった。
これを受け、市は23年10月、誰でも通園制度のモデル事業へ応募。24年4月30日から5月20日までモニタリング協力者を募集した。妊婦や待機児童の保護者、身近に頼れる親族がいない県外出身者ら74世帯(子ども78人)が利用を希望した。
実施園は現在、市西原のかすみ保育園1カ所。利用料金は給食やおやつ代を除いて1時間350円で、1時間単位で換算すると、一時預かりの料金と同額。利用時間は月10時間を上限で、超えた分は一時預かりによる対応を検討する。
かすみ保育園は、0~2歳児の保育に特化した小規模保育園。モデル事業開始に向け、誰でも通園制度担当の保育士を1人配置し、園舎の増築工事も進める。受け入れ時間は午前9時~午後1時、午後1時~午後5時などの4時間ごとを想定する。比嘉ひろえ園長は「一人一人のお子さんの状況を把握して子どもを優先した1日の流れを考え、受け入れ人数を決める。担当だけでなく、周囲の保育士の協力も必要で、保育士自身の成長にもつながる」と話す。
市こども未来課の又吉優係長は「一時預かり事業は保護者視点だが、誰でも通園制度は子の良質な生育環境を整備するという子ども視点の制度。課題を洗い出し、26年度の本格開始に備えたい」と表情を引き締めた。
(藤村謙吾)