77年分の「土地使用料」求め、沖縄市の企業が市を提訴 「復帰前は米軍道路、復帰後は市道で利用」


77年分の「土地使用料」求め、沖縄市の企業が市を提訴 「復帰前は米軍道路、復帰後は市道で利用」  沖縄市役所
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 沖縄市桃原に427平方メートルの土地を所有する同市の企業は2日までに、土地が復帰前は米軍専用道路、復帰後も市道として使用されてきたにもかかわらず使用料が支払われていないとして、市に77年分の使用料など約4700万円の不当利得返還を求め、那覇地裁沖縄支部に提訴した。

 訴状によると、土地は米軍に接収され、遅くとも1947年12月1日から米軍用道路として使用された。72年5月15日以降は市道として使われているという。歴代の土地所有者は賃料相当の損失を被り、原告の企業はもとの所有者から土地を買い取って請求権も継承したと主張する。

 沖縄戦による地籍図の焼失などを背景に、所有権の移転なしに道路に使われた私有地「つぶれ地」が県内には多くあり、自治体は補償を進めてきた。今回の土地は「農道」として登録されていたため、補償対象から漏れていた可能性もある。

 原告代理人の仲宗根忠真弁護士は「強制的に接収され、返還後も買い取られず道路として使用されているのは財産権の侵害だ」と主張し、「旧軍道の買い取りは戦後補償の一環と言えるだろう。他地域にも同様の事例は多いと思うので、(今回の提訴は)先行事例になるのでは」と述べた。

 市の担当課は「今後の司法手続きを考慮し、回答を控えさせていただく」とコメントしている。

 (福田修平)