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「コロナ禍以上に厳しい」 低賃金一般層にも困窮拡大 識者が指摘、沖縄県子ども調査


「コロナ禍以上に厳しい」 低賃金一般層にも困窮拡大 識者が指摘、沖縄県子ども調査 調査結果の説明をする沖縄大の(左から)島袋隆志教授、島村聡教授、山野良一教授=6日、県庁(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 嶋岡 すみれ

 「コロナ禍以上に厳しくなってきている」「子育て世帯をターゲットにした支援を考えているようには思えない」―。6日午後、県庁で開かれた沖縄子ども調査報告書の会見では、調査結果の分析を担当した沖縄大学の3研究者から現状に対する厳しい指摘や今後への危惧が相次いだ。

 児童福祉に詳しい山野良一教授は「コロナ禍では(行政が)頑張って支援しようとしていたが、物価高騰には定額減税があるくらいだ」と支援策が追いついていない現状を問題視した。

 「食費、教育費、住宅費など子育て世帯は切り詰められないところがどうしても残る。特別に何らかの支援が必要ではないか」と提言。その上で教育費の支援などは行政でもできるとした。

 労働問題に詳しい島袋隆志教授は、保護者の就業形態などの項目を分析した。県内の所得階層の特徴として正社員でも低賃金層がある点を指摘。給与総額は全国との差が生まれている。

 「一般層の低い方はほとんど低所得層と近い状況にあるのではないか」と推察し、非課税などの適用が受けられない一般層の困窮を危惧した。

 社会福祉が専門の島村聡教授は調査結果で公営住宅への入居希望が多かった点に触れ、県外で需要減少に伴い公営住宅が減らされている中でも「ニーズが旺盛なところは推進するべきだ」と県民が求めている対応を実施すべきだとした。

 玉城デニー知事は調査結果を踏まえ、「『誰一人取り残されることのない優しい社会』の実現を目指して、全庁を挙げて子どもに関する施策を推進していく」とコメントした。

 (嶋岡すみれ)