収入増も「生活苦しくなった」9割 0~17歳の保護者、物価高の影響が深刻 沖縄子ども調査報告


収入増も「生活苦しくなった」9割 0~17歳の保護者、物価高の影響が深刻 沖縄子ども調査報告 子ども調査の結果について、記者会見で説明する玉城デニー知事(右端)ら=6日午後、県庁(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 宮沢 之祐

 沖縄県は6日、子どもの貧困対策を効果的に実施するための2023年度「沖縄子ども調査(0~17歳)報告書」を発表した。

 調査は0~17歳の子の保護者を対象とした。貧困線未満となる低所得層Ⅰの割合は、コロナ禍の影響を受けた21年度調査に比べて3ポイント減り、世帯収入の上昇が見られた。一方で物価高騰の影響が深刻化。「生活が苦しくなったと感じているか」との問いに、「大いに感じる」「ある程度感じる」との回答を合わせると約9割となった。



 報告書では、世帯の収入と人数から等価可処分所得を算出し、困窮度を3分類。22年の国民生活基礎調査の基準をもとに、物価変動も考慮して130万円を貧困線とした。

 内訳は、貧困線以下の低所得層Ⅰ(4人家族で年収260万円未満)が20・2%、低所得層Ⅱ(同260万円~390万円未満)が22・7%、一般層(同390万円以上)が57・2%だった。

 生活の苦しさが増したと「大いに感じる」のは、低所得層ほど高い比率となった。非正規雇用が多い低所得層に賃上げが十分に及ばず、格差の拡大がうかがえる。低所得層Ⅰでは「自殺を考えたことがある」との回答が20・1%にもなった。

 物価高騰は一般層の家計も苦しめる。自由記述には、所得制限のため支援を受けられなくなった世帯からの訴えが目立った。所得だけでなく、子どもの人数や借金を考慮するよう求める声もあった。

 分析をした島村聡・沖縄大学教授は「21年度調査と比べると物価高騰が困窮率では測れない影響を及ぼしている」とし、施策の再構築を提言した。

 調査は昨年10~11月に実施。調査票を1万3449通郵送し、29%の3900人から有効回答を得た。回答はWEBも併用した。
(宮沢之祐)