コロナ禍後も生活厳しく 保護者の心理的ストレス、子に影響も<2023年度沖縄子ども調査>


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 県が6日に公表した2023年度の「沖縄子ども調査(0~17歳)報告書」。コロナ禍の影響を受けた21年度の調査に比べて世帯の収入は増加した。しかし、保護者を対象にした今回の調査結果は、収入にかかわらず生活の苦しさが増したことを鮮明に映す。物価高騰が低所得層の生活を痛撃する一方、所得制限で支援から漏れた世帯からも窮状を訴える悲鳴が上がる。子どもの暮らしは守られるのか。調査結果の概要を紹介する。(前森智香子、嶋岡すみれ、宮沢之祐)

コロナ貸し付け返済滞る 物価高騰影響も

 新型コロナウイルスの影響で収入が減った世帯を対象に生活資金を貸し付ける「生活福祉資金の特例貸付制度」の利用状況からも、物価高の影響が垣間見られる。「利用した」との回答は、全体で6・4%、低所得層Iは16・8%、低所得層IIは7・4%だった。

 利用した回答者に返済状況を尋ねると「返済が免除・猶予になっている」は低所得ほど高く、低所得層Iでは74・4%になっていた。

 一方「返済が滞っている」のは低所得層Iでは8・0%だったが、一般層で24・0%、低所得層IIは19・4%。報告書は「返済の免除や猶予を受けられなかった世帯が、現在の物価高騰の影響などもあって返済に苦しんでいる可能性がある」と指摘した。

借金支払い滞納経験17% 

 滞納経験の有無を尋ねた質問では「クレジットカードや他の借金の支払い」の滞納経験が「あった」と回答した割合が全体で17・6%に上った。階層別に見ると低所得層Iは32・6%、低所得層IIは24・2%、一般層は9・7%で、どの階層でも一定程度支払いに困っている世帯があることが分かった。

 税金・社会保険料は全体の11・4%が滞納経験が「あった」と回答した。階層別では低所得層Iでは22・8%、低所得層IIでは15・7%、一般層では5・7%だった。

 電気やガスなど公共料金の滞納経験は一般層では2~3%だったが、低所得層Iでは17~24%、低所得層IIでは8~11%が「あった」と回答した。

 「クレジットカードや他の借金の支払い」の滞納経験が多いことについて、報告書では「借金は保護者に心理的なストレスをもたらす。子どもの成長発達にも間接的に作用する可能性がある」と懸念を示した。


<年収区分の目安>

報告書では、経済状況による影響を分析するため世帯の困窮程度を、低所得層I、同II、一般層の三つに分類している。4人世帯の場合の年収で見ると、低所得層I=260万円未満▽低所得層II=260万円~390万円未満▽一般層=390万円以上。