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「支出額、1~4万円増」6割に 物価高騰でも生活必需品は節約できず 沖縄県子ども調査


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この記事を書いた人 Avatar photo 前森 智香子

 長引く物価高騰の影響が、全ての所得階層でうかがえる2023年度の沖縄子ども調査報告書。毎月の支出状況からは、低所得世帯により大きな負担となっている厳しい現実が見られる。

 物価高騰の影響で毎月の支出がどれだけ増えたかの質問には、「2~3万円未満」との回答が最も多く、全体の28・7%を占めた。次いで「1~2万円未満」が22・1%、「3~4万円未満」が14・3%で、6割超が1~4万円未満の範囲で支出額が増えたとしている。「変わらない」「減った」との回答はわずか3・4%だった。

 報告書では経済状況による影響を分析するため、世帯の困窮程度を三つに分類した。4人世帯の場合の年収で見ると、低所得層Ⅰは260万円未満、低所得層Ⅱは260万~390万円未満、一般層は390万円以上としている。

 通常は所得額に違いがあると、支出額にも差が出るが、一般層と低所得層Ⅱ、低所得層Ⅰでほとんど差がなかった。支出額の増加の程度に差が見られない結果になった背景について、報告書は「子育て世帯は、所得が低くても、物価が高騰しても、節約に限度がある」と分析した。

 経済的負担が大きい項目についての全体の回答を見ると、食費、住宅費、通信費などのいわゆる「必需品」が上位を占めた。報告書は、多くの子育て世帯がぜいたく品ではなく、生活必需品に経済的負担を感じているとし、物価高が低所得世帯により深刻な影響をもたらしていると指摘した。

  (前森智香子)