「鬼電」で執拗な取り立て、死に追いやられる人も ヤミ金事件で初公判 那覇地裁 沖縄


「鬼電」で執拗な取り立て、死に追いやられる人も ヤミ金事件で初公判 那覇地裁 沖縄 那覇地裁(資料)
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 県内に活動拠点を置くヤミ金グループが交流サイト(SNS)で客を募り現金を貸し付けて、法定金利を超える不法な利息を得ていたとされる事件で、同グループの執拗(しつよう)な取り立てを受けて自殺した債務者がいることが18日、分かった。

 那覇地裁(安原和臣裁判官)で同日にあった、グループメンバーでうるま市の自称飲食店経営の被告(36)の初公判で、検察側が明らかにした。

 自殺した債務者は、ヤミ金グループに所属していた男性の親族だったという。グループは債務者自身やその周辺への執拗(しつよう)な督促電話(通称・鬼電)などで金を取り立てていたとされる。

 ヤミ金グループのメンバーとして出資法違反や貸金業法違反の罪で起訴された9人のうち、公判が開かれたのは初めて。被告は起訴事実を認めた。検察側は被告らが2023年5月、カンボジアに滞在しているグループの指示役とみられる30代の男に、円換算で1億円分のドル紙幣を運んだと明らかにした。

 検察側は冒頭陳述で、グループが事案の発覚を免れようと、事前に預かった債務者本人や別の債務者の口座に架空の名義から振り込ませる形で債務者らから現金を回収していたなどと指摘した。また、指示役の男がメンバーの勧誘の際、月給18万円をスタートに3カ月ごとに昇給し最大で50万円になると説明していたと明らかにした。一方で指示役はノルマを達成できない場合はペナルティーを課していたという。


県内の主な相談窓口

◆県立総合精神保健福祉センター・こころの電話相談098(888)1450。月・水・木・金の午前9時~11時30分、午後1時~4時30分。
◆沖縄いのちの電話098(888)4343。午前10時~午後11時。