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激戦地の「摩文仁断崖」で全身遺骨、米軍の手りゅう弾の一部も 市民団体調査 沖縄戦の犠牲者か


激戦地の「摩文仁断崖」で全身遺骨、米軍の手りゅう弾の一部も 市民団体調査 沖縄戦の犠牲者か 発掘された遺骨を確認するプロジェクトおきなわのメンバー=糸満市摩文仁
この記事を書いた人 Avatar photo 宮沢 之祐

 沖縄戦の最後の激戦地となった糸満市摩文仁の断崖で、土に埋もれていた全身の遺骨が見つかり、発見した市民団体「プロジェクトおきなわ」理事長の松永光雄さん(70)らが19日、戦没者遺骨収集情報センターの岩下喜博センター長と共に現場を確認した。同じ場所で米軍の手りゅう弾の一部も見つかり、沖縄戦の犠牲者の可能性があるという。松永さんは「戦後79年になっても遺骨が見つかる。国がしっかり戦後処理をすべきだ」と訴えた。

 現場は、平和祈念公園の南側の断崖。アダンやガジュマルなどがうっそうと茂る。戦時中は住民や軍人が逃れたガマや岩場が多数ある。

 松永さんら同団体の4人が5月9日、散策路を造れないか調査。その際、メンバーの米国人エリザベス・フェリシタス・アモロスさん(34)が岩の間で土に埋もれていた頭蓋骨(ずがいこつ)を見つけたという。その後、周囲の岩を取り除き、確認したところ、土の中から全身の骨や米軍の手りゅう弾の一部が見つかった。

 約15メートル離れた岩穴では日本軍の鉄かぶとや銃弾約30発も発掘。しかし、身元につながる遺品は見つかっていない。

 松永さんは「国が戦争を起こしたのだから、沖縄戦の犠牲者であれば、国が責任を持って遺族を探すべきだ」とし、厚生労働省にDNA鑑定を希望する。

 アモロスさんは「(頭蓋骨が見えていたのは)彼が助けてほしかったのだと思う。見つけられてうれしい。日本人であれ米国人であれ家族の元に帰ってほしい」と話す。

 遺骨は米兵の可能性もあり、アモロスさんは米国防総省の「戦争捕虜・戦中行方不明者捜索統合司令部」(DPAA)に遺骨が見つかったことを届け出る。

 同センターによると、昨年度、沖縄戦による死者の可能性がある遺骨は60人分収集された。厚生労働省が鑑定をしている。

  (宮沢之祐)