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牛島司令官「辞世の句」削除の要請相次ぐ 県内の平和団体ら那覇駐屯地訪れ 沖縄


牛島司令官「辞世の句」削除の要請相次ぐ 県内の平和団体ら那覇駐屯地訪れ 沖縄 陸上自衛隊第15旅団の総務課広報渉外班の渉外担当の隊員に、自身が経験した沖縄戦について厳しい表情で話す島袋文子さん(右)=20日、同旅団入り口前
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 県内の平和団体は20日、相次いで陸上自衛隊那覇駐屯地を訪れ、牛島満日本軍第32軍司令官の辞世の句を陸自第15旅団の公式ホームページから削除するよう求めた。

 県平和委員会と県統一連は午前、森下泰臣陸上幕僚長と上野和士旅団長に宛てた要求書を提出した。牛島司令官が率いた沖縄戦について、「国体護持と本土決戦の時間稼ぎのために遂行された出血強要の持久戦であった」と指摘。「自衛隊による組織的な歴史改ざん」などとして、削除を求めた。

 午後には、新基地問題を考える辺野古有志の会やティダの会が「日本軍と自衛隊が違うというなら載せるべきではない」と削除を求める上野旅団長宛ての要請書を渡した。

 名護市辺野古で新基地建設への抗議を続ける島袋文子さん(95)も辺野古有志の会として要請に参加。15歳の時に体験した沖縄戦の悲惨さを涙ながらに話し、「自衛隊は沖縄戦について隊員に教えているのか。自衛隊にとってきれいごとしか知らないのではないか」と怒りを込めて訴えた。

 第15旅団側はいずれの要請も敷地外で受け付けた。対応した渉外担当の隊員は午前中、「旅団としても見直しを検討している」と発言したが、旅団総務課は「歴史的事実を示す資料で正しく伝わるよう努力していく。(掲載が)問題という認識は今はない」と従来通りの見解を示した。

  (南彰、狩俣悠喜)