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「本土防衛の礎という考え方」 辞世の句、背景を説明 牛島司令官の孫・貞満さんが講演後の取材に


「本土防衛の礎という考え方」 辞世の句、背景を説明 牛島司令官の孫・貞満さんが講演後の取材に 中学生向けの平和学習で講演する牛島貞満氏=19日、沖縄県内
この記事を書いた人 Avatar photo 南 彰

 沖縄戦で日本軍を率いた牛島満第32軍司令官の孫で、東京都公立小学校の教員だった牛島貞満さんが19日、沖縄県内の中学校の平和学習で講演した。貞満さんは沖縄戦を考える講演の中で、牛島司令官の辞世の句「秋待たで 枯れ行く島の 青草は 皇国の春に 甦らなむ」を取り上げた。

 貞満さんは歌に込められた意味について、「天皇主権の国の春に、人生を全うしないで亡くなった沖縄の若者たちの魂がよみがえってほしいという句だ」と解説。沖縄を「皇土(本土)の防波堤」とした日本軍の沖縄戦の考え方に沿った句との認識を示した。

 辞世の句を巡っては今月、陸上自衛隊第15旅団(那覇市)が公式ホームページに掲載していたことが発覚し、県内の平和団体が削除を求めている。貞満さんは講演後の報道陣の取材で、「『本土防衛のための礎になる』というものの考え方だ」と述べた。

 講演で貞満さんは「牛島満は本土決戦が必ずあると思っていた。そのために、多くの県民が犠牲になった」と語り、住民を巻き込む戦略持久戦を決めた責任を指摘した。

 貞満さんは15旅団が辞世の句をHPに掲載したことの是非については「コメントしないことにしている」とした。その上で、報道陣に対し「(自衛隊が)句の意味をもっと考えれば、おのずから結論は出ると思う」と語った。 

(南彰)