日本航空(JAL)の客室乗務員(CA)で沖縄にルーツを持つ親泊昌代さん(59)と娘の真子さん(26)=いずれも東京都=がこのほど、成田空港近くのJALグループのレストラン「DINING PORT 御料鶴(ごりょうかく)」で一緒に制服を着て勤務した。管理職の昌代さんと、2020年のコロナ禍に入社した真子さんは同じフライトを経験したことはなく、レストランで初めて同じ職場に立った。
航空業界の仕事の魅力を発信するため、同レストランは6月28日までの期間限定でJALグループの制服を着たスタッフが日替わりで接客をしている。2人はこの取り組みを知り、5月9日にボランティアで勤務した。
昌代さんは奈良県生まれ。父親が沖縄出身で、8歳から高校卒業までを那覇市首里で過ごした。中学生の時に参加したホームステイ留学をきっかけにCAを目指し、20歳でJALに入社した。「当時の沖縄はアメリカの文化がクローズアップされた時代で、小さい時から身近にあった英語を生かしたい思いがあった」と振り返る。
昌代さんが仕事をする上で意識しているのは「感謝の心」だ。「無事に目的地に着けるたびに、お客さまにもチームにも感謝が増す。だからこそ最高の笑顔で安心、安全をお届けするしかないと思っている」と話す。
真子さんはそんな昌代さんの背中を見て育った。世界中を飛び回る昌代さんは家を空けることも多く、幼い頃は寂しい思いをしていた。最初はCAを目指していなかったが、就職活動をする上でいつも笑顔の母の顔が一番に浮かんだ。
昌代さんはコロナ禍の21~22年度、県内ホテル大手のかりゆしに出向し、人材育成に尽力した。沖縄への強い思いから、現在もかりゆし社員への勉強会を継続しているという。
昌代さんは10月で定年を迎える。「娘が心からの笑顔でお客さんに接してくれているのを見て、もう思い残すことはない。今後も沖縄にも引き続きできることがないか考えていきたい」と語った。
真子さんは「母からのバトンを恥じないように持ち続け、これからも安全なサービスを提供したい」とバトンを受け取った。
(與那覇智早)