家族の思い出がこもったセーラー服が母から姉、そして妹へー。那覇市の城東小学校の入学式があった9日、新入生の宜野座結叶(ゆいか)さん(6)は、2022年にがんで亡くなった母さつきさん(享年48)と姉の夢叶(ゆめか)さん(13)が小学校の入学式で着たセーラー服に身を包み校門をくぐった。結叶さんは「この洋服、お母さんもお姉ちゃんも着たんだよ。入学式で着られてうれしい」と笑顔をはじけさせた。
母のさつきさんは夢叶さんが小学校に入学した時に結叶さんを身ごもっていた。「次女もこの服を着てくれるといいな」と、3人で同じセーラー服を着ることを望んでいた。父の忍さん(50)は「妻の願いをかなえることができ、感慨深い。素直で元気に育ってほしい」と目を細めた。
さつきさんの病気が判明したのは結叶さんが2歳の時。それから3年間、闘病生活を送った。入院中は自由に会えず、さみしさで泣くこともあった結叶さん。亡くなる前に1週間ほど一時退院した際は、さつきさんに付きっきりで過ごした。
さつきさんの死後、保育園の行事などにはいつも遺影を持って行った。抗がん剤治療で髪が抜けた母の姿を見て、「お母さんと同じ病気で困っている人を助けたい」とヘアドネーションをするために髪を伸ばしている。
セーラー服を購入したのは、さつきさんの母の大城節子さん(74)=豊見城市。44年前、子ども服店で見つけて一目ぼれした。「結叶がさつきと同じ服を着ている姿を見て、涙が抑えられなかった。さつきにも見せてあげたかった。さつきもきっと喜んでいると思う」と涙をぬぐった。
40年以上の時を経て、家族の思い出をつなぐ大切な宝物となったセーラー服。忍さんが「子どもたちが親になった時、またその子どもに着てもらえたらうれしい」と話すと、結叶さんは「着せてあげてもいいよ」と笑顔で語った。
(外間愛也)