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安保で個人の尊厳ないがしろに 髙良沙哉さん(憲法学者、沖縄大教授)<米兵事件続発 わたしの視点>5


安保で個人の尊厳ないがしろに 髙良沙哉さん(憲法学者、沖縄大教授)<米兵事件続発 わたしの視点>5 沖縄大学の髙良沙哉教授
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 12月に事件が発生してから約6カ月間、事件は隠された。遅くとも起訴された3月の時点で、プライバシーに配慮した形で情報がきちんと共有されていれば、5月の事件の抑止になったかもしれない。加害を止められなかったことには強い怒りがある。

 今回、プライバシー保護を口実にして、本来行うべき情報共有の手続きが行われなかった。政治的な思惑があって県に連絡がなかったのだとすれば、人権よりも日米関係が優先される状況は明らかにおかしい。

 そもそも憲法の平和主義の観点から言うと、軍隊がいつまでも駐留し、平時に軍事性暴力を起こし続けていることは問題だ。安全保障など全体の利益のために個人の尊厳がないがしろにされている状況は、日本の憲法ではあってはならない。

 今回、情報共有のルートは、国の裁量で自由に運用できてしまうことが分かった。今後は政治的な思惑に左右されないルートの確立を、沖縄側から求めていくことが大事だと思う。

(嶋岡すみれ)