本部町の沖縄美ら海水族館で、深海にすみ、国内ではこれまでに1個体しか確認されていない希少種のカニ「ケブカミズヒキガニ」の展示が15日から始まった。今月、県海洋深層水研究所によって久米島沖の水深612メートル地点から水に混ざってくみ上げられ、同水族館へ寄贈された。水族館によると、国内の発見は2例目で、生体展示は世界初とみられる。
同種はソシエテ諸島、北マリアナ諸島、沖ノ鳥島の水深366~600メートルに生息するホモラ上科の一種。日本では沖ノ鳥島の南で捕獲された個体をもとに、2019年に和名が提唱された。展示されているのは1個体で、甲羅の幅は約5センチ。水族館内の「深海の小さな生き物」コーナーで見ることができる。
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通常、カニなどのホモラ上科の仲間は、身を隠すため、一番後ろの足(第四歩脚)を使ってカイメンなどを背負い、身を隠す習性がある。だが、ケブカミズヒキガニを飼育したところ、第四歩脚で何かを背負うこともなく、歩行で使用することもないため、現時点で第四歩脚の役割は不明。同水族館深海展示係の馬場雄一郎さんは「日本で発見例が少ない種で、生態もよく分かっていないところもある。ぜひ多くの人に見に来てほしい」と話した。
(池田哲平)