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「難聴」の壁越えてサッカー選抜入り、支えたのは…「俺が一番うまい」ライバルは最強のチームメート 


「難聴」の壁越えてサッカー選抜入り、支えたのは…「俺が一番うまい」ライバルは最強のチームメート  幼少期から一緒にプレーする(左から)友利日々翔さん、安森一立さん、安村陽太さん=11日、北谷町の北玉小学校(大城直也撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 金盛 文香

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サッカー選抜でスペイン遠征へ!“音を感じる”コートで躍動誓う から続く>>

 サッカー選抜でスペインへの遠征を決めた安森一立さん(9)。先天性の難聴があり、人工内耳を装用している。国内では装用したままの公式戦出場が認められていないなど壁にぶつかることもあったが、ひたむきにコートに立ち続ける。

 「サッカーが楽しい」。その思いを支えるのはチームメートの存在も大きい。

 所属チームの「ボアソルチFC沖縄」の喜久村優監督は安森さんを「認知力が素晴らしい」と評価する。難聴の特性から「プレー中に目で周囲を確認する回数が多い。頭で考えて実行できる」と強みを話す。

 認知力という武器や高い技術で活躍する安森さんだが、試合中に審判や監督の指示などが聞こえず「どうしていいか分からないことがある」と明かす。

良きライバルでもある(左から)友利日々翔さん、安森一立さん、安村陽太さん=7月11日、北谷町の北玉小学校(大城直也撮影)

 その「壁」を越えようと仲間が協力した。チームメートの安村陽太(ひなた)さん(10)と友利日々翔(ひびと)さん(9)が中心となり、位置の調整や作戦などを伝えるジェスチャーを作った。安森さんは「指示が分かると落ち着ける」と感謝する。幼い頃から一緒にプレーする3人。友利さんは互いを「ライバル感が強い」と話すなど、互いにかけがえのない存在だ。

 安村さんと友利さんは別の選抜で6月24日から7月3日までスペインで遠征していた。同じ選抜に安森さんも挑戦していたがメンバーに選出されず、「先を越され悔しかった」と振り返る。その後は「チームメートへの声かけを意識した」と練習にさらに熱が入った。

 一足先にスペイン遠征を終えた2人は、自身の成長を実感しているという。安村さんは「チームで教わったことを生かして、自分で試合を動かしてほしい」と安森さんの背中を押した。

 「俺が一番うまい」と口をそろえる3人。将来の夢はプロサッカー選手になって、海外で活躍することだ。安森さんは「みんなと一緒にやりたい」とも話す。「デフ(ろう者)サッカーの日本代表はもちろん、サッカー日本代表にも選ばれたい」。国内トップレベルの選手へ。サッカーへの情熱とたゆまぬ努力で夢を追う。 

(金盛文香)