パリ五輪開会式で演出の一つとして採用されたファッションショー「パリ・コレクション」(パリコレ)。ファッション界最高峰の舞台裏では、デザイナーやランウェイを歩くモデルら表現者たちの戦いがある。その舞台に、沖縄から挑んできたのが、北谷町のトータルビューティーサロン「MpluS(エムプラス)」オーナーで、ヘアメークアーティストのMiranda(ミランダ)さん(48)だ。
ミランダさんは昨年10月、県出身モデル2人やヘアメーク5人らでパリコレに3回目の参加を果たした。「沖縄の若い子に夢を与えたかった」と語り、五輪へ挑む選手らへも「自分を表現してほしい」とエールを送る。
フィリピン生まれのミランダさん。11歳の時に家族で沖縄に移住した。美里工業高を卒業後、福岡美容専門学校の通信課程で学んだ。
パリコレの初参加は25歳の頃。勤めていたサロン「TIME PROJECT(タイムプロジェクト)」の名嘉山盛隆社長に見込まれ、単身で参加した。名嘉山社長に背中を押されるように27歳で独立した。10年後の2013年にエムプラスを開店し、2回目のパリコレ参加を果たした。「挑戦するごとに新たな発見があった」と振り返る。
昨年の3回目は、沖縄の若手に挑戦する機会を与えることが目的だった。「世界中から集まった多種多様な人に見せるし、見られる」。エムプラスでチームを結成して参加した。本番前の舞台裏には約100人のモデルが詰めかけ、デザイナーがモデルの衣装を選び、ヘアメークを担った。
ミランダさんのチームのモデルは、デザイナーが予定した衣装とサイズが合わないハプニングもあった。別のモデルに変更されそうになったが、ミランダさんが裁縫し直して乗り越えた。「自分の作品を表現する場。臨機応変に対応できないといけない」と語る。
「努力しても表現する場が少ない。沖縄でも作れることを見せたい」。今年12月には県内外のサロンや県内の美容学校の学生70人ほどでファッション・ヘアショーを北谷町で開催する予定だ。
パリ五輪の開会式に「エッフェル塔が背景にあってパリにしかできない演出」と感激した。「歴史があってどこで撮影しても絵になる。アスリートが自分を表現するのにも良い場所だ」とエールを送った。
(古川峻)