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【動画&インタビュー全文】仲宗根梨乃の“沖縄愛”とエンタメへの情熱 同郷のラッパーAwichに「刺激バリバリ受けた」


【動画&インタビュー全文】仲宗根梨乃の“沖縄愛”とエンタメへの情熱 同郷のラッパーAwichに「刺激バリバリ受けた」 故郷の沖縄やエンタメへの熱い思いを語った仲宗根梨乃さん=11月29日、那覇市おもろまちのNHK沖縄(喜瀨守昭撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

世界的な「ダンスエンターテイナー」として活躍している仲宗根梨乃さん。沖縄出身で、子どもの頃にマイケル・ジャクソンに魅了され19歳で渡米、チャレンジを重ねて道を切り開いてきた。人気オーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」シリーズでトレーナーを務め、今年は自身初のアートブック「Rinosophy」を発売するなど、ますます活動の幅を広げている。11月、およそ5年ぶりに沖縄を訪れた仲宗根さんに、エンターテインメントへの思いや向き合い方を聞いた。

ー 沖縄はいつぶりですか。

5年ぶりぐらい。親戚のおじさんやおばさんがもう90歳近いので、プライベートでももっと帰ってきたいって思いました。

ー活動拠点としてはアメリカが中心?

住んでいるのはアメリカですが、仕事は日本とかアジアが多いですね。 

ー今回は番組収録のために来沖された。番組のテーマは、国内外のエンタメ界で活躍する沖縄出身の若者たちについてです。沖縄発のエンタメについてどう見ていますか。

とても盛り上がっていると聞いてます!いろんな分野で活躍するアーティストさんが増えていて、アクターズスクールも復活して楽しみですね。

笑顔でポーズを取る仲宗根梨乃さん

ー 沖縄で生まれ育ったことが、ご自身の活動やパフォーマンスに影響していることはありますか。

知りません(笑)。だって自分は自分なので。ただ、沖縄出身というのはでーじ(とても)誇りに思っています。「いちゃりばちょーでー(出会えば皆きょうだい)」とか。親戚のおばさんの話し方を見て、「ああ、わーやっさ(私だな)」とか。やっぱりそういう血というか、影響は絶対にあると思います。
興味のあるなしが0か1000なんですよ。興味があることに対してはもうオタクなんですけど、興味がないことに対しては申し訳ないぐらい知らない。性格ですね。その興味への入り方がキャリアにもつながっていると思います。

 ー活躍している沖縄出身のアーティストたちから影響を受けることはありますか。

私が影響を受けてきたのはマイケル・ジャクソンとか、アメリカ出身のアーティストです。 ただ、(11月5日に開催された)AwichのKアリーナでのコンサートに行ってきたんですけど、 やばかったです。彼女の沖縄愛とか、ほんとすごくて。あと 「みんなで一緒に」みたいな。そこにはめっちゃ感動したし、刺激を受けました。

仲宗根梨乃さんが「刺激を受けている」と語るラッパーAwich=2023年7月30日、沖縄アリーナ

ー特にどういったところに刺激を受けましたか。

彼女のマインドですよね。昔から知ってはいるんですけど、ちゃんと毎日努力していらっしゃるし、才能もそうですし。絶対に世界でも成功すると思う。当たり前って言ったら変ですけど、それぐらいの才能を持っている。刺激をバリバリいただきました。

ー12月にアートブックを出した経緯を教えてください。

元々、いつか本は書きたいって思っていたんですね。でも、1行も書いたことないんです。気づいたらもう12月で今年も終わりみたいな・・・。 そしたら知り合いですごく素晴らしいグラフィックアートをやってるAsahiさんという方がいて。その子のアートを見て、コラボしたいと思ったんです。

私は文字だけじゃなくて、やっぱりアートと一緒にした方が書けるし、やりやすい。コラボも大好きなんで(笑)。アートとして自分の言葉を出すということに、めっちゃしっくりきたんですよね。 Asahiちゃんにオファーしたら、ぜひと言ってくれて。

プデュ(※)を通して、私の言葉が響きますとか励みになるっていう声をいただいて。自分ではただ教えることだけに集中しているんだけど、ありがたいなと思って。(アートブックが) いいきっかけになれたらいいな、みたいな感じですよね。

※オーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」の略称

若い世代に教えることについて語る仲宗根梨乃さん

ー自分の言葉を残したいという思いがあった?

私、意見とか毎日変わるんですよ。毎日変化していく私がそれ(言葉)を残すってどうなんだろうっていうのもあったんですけど、だからといって、ずっとやらなかったら何にも起こらないんです。やっぱり行動が全てだと思っているので。

 マインドとか意見って変化していくかもしれないけど、今の自分にできることを一度表現してみようと思って。言葉もそうなんですけど、グラフィックアートと共に楽しんでいただけたらなって感じです。


ー オーディション番組への出演でトレーナーとしても注目されるようになって、仕事やエンタメへの向き合い方に変化はありましたか。

うーん・・・向き合い方は一緒なんですよね。エンタメに対しての熱だったりは、アーティストさんを演出する時にも変わらない。プロの歌手の方と一緒に演出で関わらせていただく中で、エンタメのすばらしさというか、アーティストの影響力や表現力というところはいつの時代でも必要だなって思ってて。別に(トレーナーを)やったから変わったとかはないけど、やりがいは感じます。

教えてすごく伸びる子がいるとやっててよかったなと思うし、教えている相手から私がめちゃくちゃ学んでます。教育の本とかも読み始めました。アートの表現だけじゃなく、最近の子のマインドってどうやったら学ぶ(という姿勢)になるのか。そういったものにも興味が出てきました。

チャレンジを続け道を開いてきた仲宗根梨乃さん=2012年、北谷町(渡慶次哲三撮影)

ーどういう場面で「自分も勉強しないといけない」と感じますか。

やっぱり、知識ってパワーだと思います。もちろん自分の中の感覚を大切にすることもそうなんですけど、 何かを学ぶということは教える際の引き出しになる。

基本的に 自分が経験することが一番大切だと思っているので。自分が経験して学んだことをシェアして、「じゃあ、あなたはどうなの?」って毎回聞いてます。「あなたの答えを探しなさい。私は私。なんなら私が言うことを全部無視していいからね」って。自分がどう感じるのか、どう表現したいのか、何をどう伝えたいのか・・・というのを大切にしてほしい。アーティストなら特に。
 

ー教えている相手から学ぶのはどんなことですか。

例えば、相手に響いていない時に「なぜ響いてないのか」と考える。私が先生としてまだ未熟だから、勉強を始めた。今の世代の子たちに何が合うのかということにめっちゃ興味があります。音楽もダンスも時代ごとに変化するので、自分にとってチャレンジです。

(伝えたいことが)響いていないと感じる時が1番ムズムズします。なにか返してくれるのは全然いいんです。なんなら「来い」と思うぐらい。 響かなかった時や、何も変わらない子を見た時に、どうやったらその子がぱぁっと輝くのかなって。 そういう経験をした時に、自分のステップアップにしたいって欲が出てきますね。

ープロのアーティストとはまた違う?

(プロは)100倍にして返してきます。なるほど、だからやっぱりプロなんだなと。それはパフォーマンスにもすごく影響する。だから、怖がらないで自分自身を出してほしいと思う。

ただ、それだけが全てでもなくて。自分を正直に出すことはアーティストとして大切だと思うんですけど、それとは違うやり方もある。だって1人1人がユニークなので。だからこそ、(自分も)いろんな人に対応できる能力を持ちたいという欲が出ます。どれだけ目の前の子を理解できる人になるかっていうのが、今の目標ですかね。

「自分のアイデアを信頼して」と若い世代へメッセージを送る仲宗根梨乃さん

ー仲宗根さん自身は19歳でアメリカに出て、影響を受けたところが大きい?

めっちゃ影響受けてます。アメリカでいろんな国の方と出会ってめっちゃオープンマインドになったし、言葉もそうですけど、カルチャーにもめっちゃ影響を受けてます。沖縄にずっといたらわからなかった感覚は絶対にあると思います。

沖縄の子たちも、 機会があるなら絶対に出た方がいい。もちろん金銭面などそんな簡単ではないけど、機会があるならいろんな場所に行ってほしい。日本のどこかでもいいし、韓国でもいいし、アメリカはもちろん台湾も近くにあるわけで。自分の住んでいるところ以外の土地に行って、違うカルチャーや人々に出会う経験は間違いなく学びになる。私は沖縄を出て、沖縄のすばらしさや沖縄に対する感謝の気持ちが分かりました。

ー沖縄で過ごしていた時代、仲宗根さんはダンスを独学で練習して「マイケル・ジャクソンになる」という強い思いを持っていた。

アメリカではスタジオに通いましたが、19歳までは全部1人でやって、 独学です。マイケルのビデオを何回も見て。ドア(窓ガラス)に映る自分を見ながらやってました。「マイケルにならないのがあり得ない」という感じでした。
独学だからいけたんですよ。私が「自分で考えろ」というのはそういうことなんです。

今って、いい意味でありがたい環境が増えているけど、思考が止まるかもと。恵まれているから、そこをこなせばいいみたいな。でも私の時は、自分で考えて、自分で作って・・・という環境だった。家がスタジオで、先生はリモートでマイケル・ジャクソンみたいな(笑)。

自分の意識や考え方の大切さを知ってほしい。自分のアイデアをどんどん信頼して出して、恥じかさー(恥ずかしがることを)しないでほしい。 どんどん意見を言っていいしアピールしてほしいって思います。

(取材:田吹遥子、大城周子/撮影:喜瀬守昭)


プロフィル

仲宗根梨乃(なかそね・りの) 1979年、那覇市出身。那覇商業高校卒業。19歳で渡米。ブリトニー・スピアーズのツアーにバックダンサーとして参加。グウェン・ステファニー、ジャネット・ジャクソンらとも共演した。少女時代やSHINee、NCTなど韓国の人気グループの振り付けやライブ演出も担当。米ロサンゼルスを拠点に、アジアをはじめ世界各地で活動している。

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