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【寄稿】コザ生まれの「紫」スウェーデンで熱演 「沖縄ロック」のパワーを北欧ファンに 園部晃三


【寄稿】コザ生まれの「紫」スウェーデンで熱演 「沖縄ロック」のパワーを北欧ファンに 園部晃三 6日、スウェーデンで開かれたロックフェス「Time To Rock」の舞台に立った「紫」のメンバーら(K・HASHIMOTO撮影)
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 2024年7月6日、スウェーデンにて、2006年から開催されている伝統的なロック・フェスティバル「Time To Rock」(世界から45バンドが集まった)の舞台に「紫」が立った。晴雨と寒暖の移ろいが激しいこの時節の北欧。その時だけは暖かい光明のなか、12曲を熱演した。

 聴衆は熱狂し、拳を突きあげ頭を振り、沖縄からのハードロックに酔った。主催者から配られた多くの「日の丸」が揺れた。

 1970年にコザで生まれ、厭世(えんせい)的な空気のなかで米兵を相手に演奏してきた初代メンバー、ジョージ紫(キーボード)、宮永英一(ドラム)、そして比嘉清正(ギター)は驚いた。「こんなにも多くの北欧の人達から喝采を送られるとは」と。それもそのはず、「紫」のファーストアルバムを持参する人もいて、結成当時からのファンが根付いていたのだ。そんな彼らの呼びかけによって、実現した舞台だった。この日を待っていた、その次世代の若い女性らも客席最前列で歓声を発した。父から受け継いだ「沖縄ロック」だと興奮する。

 「紫」は来年、結成55年を迎える。メンバーの入れ替えもありながら、伝説をつないできた。国内外のファンがそれを支えてきたと言える。

 「紫」が生まれたコザを中心とした沖縄の歴史は、直接的に北欧には届いていなかったのではないかと思っていたメンバーらは、あらためて沖縄ロックのパワーを実感しながら、ステージと観衆が一体となった。演奏後のサイン会では長蛇の列が途切れなかった。

(作家)