2022年7月30日に那覇市の認可外保育園(同年8月に廃止)で、一時預かりされた生後3カ月の男児が心肺停止の状態で救急搬送後に死亡した件で、遺族が30日、園と市、国に対して9125万円の損害賠償を求める訴えを那覇地裁に起こした。
遺族側は、園側が保育事故を防ぐための対応を取らず、救急車を要請しなかったことなどについて、安全配慮義務違反と不法行為があると指摘。市と国が男児の「安心、安全な保育を受ける権利」を侵害したなどとして児童福祉法、憲法違反に当たるとした。
弁護団の大井琢弁護士が同日午後、県庁で会見して明らかにした。
大井弁護士によると、認可外保育園の保育事故を巡る国賠訴訟を提起するのは県内初という。
訴状によると、訴えを起こしたのは亡くなった男児の両親。男児が、ベビーベッド上でSIDS(乳児突然死症候群)が起きやすいとされる「うつぶせ寝の態勢」か、「うつぶせ寝にしかなりえない態勢」で寝かせたことで「窒息死」したとした。
園を運営する園長に、うつぶせ寝などの保育事故を防止するために行う、睡眠中の乳児の観察手順を怠るなど安全配慮義務違反となる不法行為があったと指摘。市と国には、運営体制のずさんさが指摘されていた園への対応を怠ったことへの責任があるとした。
提訴に当たり、原告の遺族が「(男児と)私たちのための裁判であり、すべての子どもたちのための裁判でもある」などと弁護士を通じてコメント。知念覚那覇市長は、「内容が手元に届いておらず、具体的にお答えすることはできない」とした上で、「本市として至らなかった所は何かを常に考えながら、向き合っていきたい」とした。