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ハラスメント防止条例 市民ら「一歩前進」「形だけ」の声も 南城市 沖縄


ハラスメント防止条例 市民ら「一歩前進」「形だけ」の声も 南城市 沖縄 南城市役所(資料写真)
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 県内で初めてとなるハラスメント防止条例が8日、南城市議会で成立した。古謝景春市長のセクハラ疑惑を受け、これまで規定がなかった市長などの特別職から被害に遭った場合の対応を定めた。ただ、一連の疑惑の真相解明は先送りされたままで、市民からは「重要な事項があいまいなまま、形だけ決められたようだ」との声も上がった。

 この日の市議会では、ハラスメントに関する特別委員会の銘苅哲次副委員長が「市職員を対象に実施したアンケートの内容を踏まえ、今回の条例案になった。あくまでゴールではなくスタート。全ての職員が安心して仕事ができる環境にしたい」と訴えた。

 ただ、条例案の審議は6月22日の約3時間だけだった。業務委託や派遣で働く人が被害に遭った場合の対応があいまいなため、修正を求める意見が出たが、与党の反対で再審議は見送られた。

 反対に回った野党の宮城尚子市議は討論で「外部識者からの意見やアドバイスを得るよう求めたが却下された」と指摘。「非常に乱暴なやり方ではなかったか」と述べた。

 議会を傍聴した市民からは「条例や外部相談窓口ができることは一歩前進と言える」との声が上がった一方、「現在の市の状況や条例の内容を考えると、ハラスメント被害者が安心して相談できるか疑問だ。もっと丁寧に議論して決めるべきではないか」という意見も出た。

 市民団体「ハートのまち南城 人権ファーストの会」の代表らは「条例がしっかりとハラスメントを防止し被害者を守るものになっているかどうか、これから注視していきたい」と語った。

 (普天間伊織、南彰)