今年に入って沖縄・奄美地方に接近した台風の数は2回で、例年と比べて少ない状況となっている。海水温も上昇傾向で、15日には南大東南の海面水温が32・0度、宮古島島南で32・12度を観測し、沖縄周辺海域の観測史上初めて32度を超えた。8月は海水温が高まる時期でもあり、台風が接近しない限り今後も水温の低下が見込めずサンゴの白化拡大への懸念が強まっている。
沖縄気象台によると、今年は春までエルニーニョ現象が発生していた影響で、台風の発生が平年より遅い傾向にある。過去にエルニーニョ現象が発生した1998年と2016年も8月までに沖縄・奄美に接近した台風は2個にとどまり、8月の海水温が高く沖縄近海でサンゴの大白化が起きた。
エルニーニョ現象は、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く。7~9月の台風発生数が平常時より少ない傾向で、発生位置が南東にずれる傾向がある。
沖縄・奄美での過去3年の台風接近数を見ると、年明けから8月までには5~6回接近している。今年は8月に入り4個の台風が発生したが、太平洋高気圧が東に後退している影響で、日本本土に進行し、沖縄地方への接近はなかった。
7月下旬に台風3号が先島諸島に襲来したものの、海面水温は高止まりしている。沖縄気象台の担当者は「台風が来ても温度が下がりきらないほど、海の下の方まで暖まってしまっている」と説明する。
石垣島、宮古島、与那国島近海の海面水温を見ると、台風が接近した7月24、25日は30~31度で推移し、その後29度に下がったが、8月に入り再び31度以上に上昇傾向にある。
サンゴは水温が30度以上の状態が長く続くと白化が起こると言われている。既に本島北部や中部などでサンゴの白化が確認されており、今後拡大する恐れがある。
(中村優希)