白球を追う夏の甲子園大会が熱を帯びるなか、高校生が創作和菓子の技術や企画力を競う「全国和菓子甲子園」の決勝戦が21日、大阪府で開幕する。沖縄から出場するのは興南高校2年の知念翼さん(16)と大見謝実希さん(17)。沖縄の伝統菓子を用い、装飾で豊かな自然を表現して沖縄らしさを詰め込んだ逸品「牛(ぎゅう)っとおきなわ」で挑む。「興南の夏は終わらない」と、全国の舞台で腕を振るう。
15日、那覇市の首里知念製菓和菓子四季彩の調理場で、2人は実技審査の練習に励んでいた。制限時間は1時間45分。手際よく工程をこなす。オレンジピールとクリームチーズを練り込んだ2層の蒸し菓子「浮島」をミルクようかんでつなぐと、塩ちんすこうの台に乗せて4層に。その上に濃い緑の抹茶バタークリームを絞って沖縄の自然を表現し、白あんなどで作る練り切りで仕上げた桃色のハイビスカスを飾り、創作和菓子10個を完成させた。
和菓子甲子園には全国86件の応募があり、地区予選を勝ち抜いた12チームが決勝戦に挑む。今年のテーマは「日本の酪農」。バターの製造過程で生まれ、使い道が課題となっている脱脂粉乳の使用が条件で、2人の作品は浮島やちんすこうの土台などで活用する。
大会優勝を目指し、難易度の高い、立体感のある練り切りに挑戦する。ちんすこうの台は浮島やようかんを乗せる前の温かいうちに切り分けることで崩れを防ぐ。知念さんの父親で2人を指導する、首里知念製菓和菓子四季彩の知念秀和代表取締役は「(上の部分を)土台と寸分違わず切らなければならない。きれいに仕上げたいという思いがこもっている」と話す。
決勝はプレゼン審査もある。発表資料のイラストはクラスメートで美術部部長の東江杏奈さん(17)の力を借りた。大見謝さんは「みんなの支えがあってここまで来た。全力で挑んで結果を残す」と意気込む。知念翼さんは「目標は優勝。知念製菓も背負う思いで臨む」と語った。
(高橋夏帆)