宜野湾市の西普天間住宅地区(約51ヘクタール)に2025年1月、琉球大学病院が移転する。市民からは人口の増加や町のにぎわいに期待の声が上がる一方、教職員や学生、外来患者などの往来集中による周辺道路の渋滞も懸念されている。地域住民からは「にぎわいに期待はするが、朝夕に生活道路の車通りが増えることなどが心配だ」と不安の声も出ている。
琉大病院予定地付近の普天間2丁目付近は戦後、米兵向けのAサインバーや県民向けの飲食店が立ち並ぶ商業地として栄えた。だがベトナム戦争期をピークに、徐々に店舗数が減っていった。同地域にはその当時に建てられた築50年以上の老朽化した建物が多く残る。琉大病院予定地周辺の普天間三区自治会の渡名喜庸松会長は「空き屋が減り、商業のにぎわいもでるだろう」とし、「既に琉大病院の職員向けアパートもできていると聞く。学生向けのアパートなども増加すると思う」と期待した。
同病院の普天間側の入り口につながる県道81号の「ぎのわんヒルズ通り」は渋滞などは少ないが、普天間交差点付近の国道330号は、朝夕の時間帯は混雑が見られる。
24年3月の宜野湾市地域公共交通計画によると、現在の国道330号の普天間交差点の混雑度は慢性的な混雑状態を示す1・75だが、移設後はさらに悪化することが予測されている。
渡名喜会長によると、市から景観や建物についての説明はあるが、交通渋滞に関する説明はほとんどない。
ヒルズ通りに面する新城区には、普天間第二小学校と普天間中学校の二つの学校がある。同区に住む70代の女性は「小中学生は歩いて登下校する人が多く、同じ時間帯に区内の狭い道の車通りが増えないか不安だ」と声を落とした。
宜野湾市は国道330号の渋滞対策として、北向けの片側2車線を3車線に拡幅することを検討しており、年内に車線を引き直す工事を実施するという。
県と同市、琉大は「西普天間交通対策ワーキングチーム」をつくり、渋滞対策は協議しているが、決定事項はまだないという。渡名喜会長は「普天間交差点付近は今でも交通量が多いので心配だ」と話した。
(福田修平)