【伊江】伊江村の反戦平和資料館「ヌチドゥタカラの家」で空の薬きょうや弾丸などが展示されている件で、陸上自衛隊は5日、展示品の米国製砲弾などを回収した。同館を運営する「わびあいの里」は今後、館内で空の薬きょうなどを展示するブースで、展示品に触れないようにするなど対策を検討している。
同館では、「不発弾らしきものが展示されている」との通報があり、展示品の確認・回収作業が行われていた。5日の作業では、県警職員4人が館内の空薬きょうなどを目視で確認し、火薬が残ってる可能性があるものなどを分別した。その後、分別された展示品を陸自が回収した。
陸上自衛隊第15旅団によると、5日は米国製20ミリ砲弾102発、同40ミリ砲弾2発、小火器弾187発、信管1つを回収した。
伊江村の戦後史などを調べる同村出身の長嶺福信さん(76)によると、同館が展示する空薬きょうや模擬爆弾は、ほとんどが戦後、米軍が伊江島で行った射撃演習などで使用して、放置されたもの。当時、伊江村民らは薬きょうなどを集めて換金し、生活の糧としていたという。長嶺さんは「伊江村では空薬きょうを拾いに行った村民が演習に巻き込まれて亡くなるなどの米軍被害の歴史がある。そうした歴史を残してくためにも実物を展示することは必要だ」と話した。
伊江村教育委員会が管理する、同村の資料館「伊江島はにくすに郷土・平和資料館」で展示していた砲弾や小銃弾も、陸自が回収したことも5日、分かった。村教委によると、来館者から「展示品の中に火薬が残っている可能性がある」との意見があった。陸自が今月4日に同館を訪れ、小銃弾や手りゅう弾、砲弾など125点ほどを回収したという。
村教委教育行政課の新城米広課長は「安全を確保しつつ、今後も島の歴史を伝えていけるよう取り組みたい」と話した。
(金城大樹)