台風13号が迫る中、県内各地の人々は13日、台風対策に追われた。来県した観光客は旅の計画変更を迫られた。
暴風域に入る可能性がある北部の観光施設「ネオパークオキナワ」(名護市)では、園内に設置していた10メートル四方の大型テント3張りをクレーンで撤去。停電に備えて排水用の大型ポンプも用意した。職員らが入り口の大型看板を取り外す様子も見られた。宇栄原郁夫施設管理部長は「風が強くなる前に対策を進めた。万全の準備をしている」と話した。
恩納漁港では、漁船が陸揚げされロープで固定されて並んだ。恩納村漁協の金城治樹組合長によると、村近海の水深が深い場所でサンゴが白化し「このままの海水温では死滅が決定的になる」と危惧している。台風は海底の泥を一掃するため、9月末から始まるモズクの種付けにも大切といい、「被害がないに越したことはないが、台風が来て水温が下がることを期待したい」と話した。
沖縄市の東南植物楽園では12日夜から対策に取り組んだ。スタッフの玉城常智さんによると、補強棒を入れたりネットをかけたりと植物に合わせた対策をとり、重機が必要な作業もある。暴風警報の発表によって営業するかどうかを検討するとして、開館する場合に備えて大きなヤシの葉の根元をバンドでしばった。
那覇空港には多くの観光客の姿が見られたが、週末に台風が最接近することが見込まれ、表情を曇らせる人も。挙式のために1歳の娘と家族3人で長崎県から訪れた柳武将光さん(29)は「結婚祝いに晴れてくれないかな」と残念そうに話した。子どもたちと沖縄で海水浴を計画していた新野久実さん(34)は「宿泊先のプールと美ら海水族館に行こうと思います」と早くも新たな計画を立てた。
(池田哲平、武井悠、金盛文香、名嘉一心)