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【インタビュー】#KuToo提唱の石川優実さん「毎日の選択に女性差別」父の故郷・那覇で26日に講演


【インタビュー】#KuToo提唱の石川優実さん「毎日の選択に女性差別」父の故郷・那覇で26日に講演 石川優実さん(提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 嶋岡 すみれ

職場でヒールのある靴の着用を強制する社会に異議を唱えた「#KuToo(クートゥー)」運動で知られる俳優の石川優実さん(37)が、26日に県男女共同参画センター「てぃるる」で開かれる公開講座に登壇する。講座を前に1日、琉球新報のインタビューに応じた。石川さんは2019年に署名活動「#KuToo 職場でのヒール・パンプスの強制をなくしたい!」を展開。現在はジェンダー平等社会の実現を目指し、幅広く活動を続けている。父は那覇市出身。インタビューでは靴を通して日常に潜む女性差別について気づいたきっかけを振り返り、沖縄の基地問題にも言及した。 (聞き手 嶋岡すみれ)

 ―「#KuToo」運動のきっかけは。

 「葬儀屋でアルバイトをしていた時、女性は5~7センチのヒールの靴を履くように決められていた。男性が履いているフラットシューズの方が動きやすいし、足も痛くならない。なのになぜ女性だけヒールの靴を強制されるのだろうとSNSでつぶやくと、反響がたくさんあった。おかしいと思っている人は自分だけじゃないんだと知り、署名を集めようと思った。署名は性差によるハイヒールやパンプスの強制を禁止するように厚生労働省から事業主へ通達を出してもらうことを目的とした」

 ―署名は約3万筆集まった。反響をどう感じていたか。

「社会運動と縁なく生きてきたのに、自分の愚痴のような思いを表明するだけで、こんなに社会が変わっていくのだと驚いた。ジェンダーやフェミニズムについても勉強するようになった。知れば知るほど生活のいろいろな場面で『女性だから』『女性らしく』と抑圧されてきたのだと気づいた。これまで感じてきたもやもやの答え合わせをしているようだった」

 ―「#KuToo」運動を続ける中で、デマや激しい誹謗(ひぼう)中傷にもさらされた。

「『そんなの見なきゃいい』『受け流せば』という意見も多かったが、黙って放っておいたらどんどんひどくなる。運動について、正しく伝えなければいけないと思い、抗議し続けた」

「#KuToo」運動の署名を募るホームページ

―沖縄の基地問題にも声を上げ、名護市辺野古の新基地建設に反対する署名にも賛同している。

「父が那覇市出身で、祖母など父方の親族は今も沖縄にいる。沖縄は数年に1回親族に会いに行く場所だった。だが『#KuToo』運動をする中で差別の構造について学び、自然と沖縄の基地問題についても情報が入ってくるようになった。私の生活の中には基地がないけど、沖縄はそうじゃない。自分がその問題に気づかなかったことがショックだった」

 「2022年にひろゆきさん(西村博之さん、インターネット掲示板「2ちゃんねる」開設者)が辺野古の新基地建設に反対する方たちを揶揄(やゆ)した問題が起こったあと、初めて辺野古に行き、座り込みに参加した。すごく簡単な言葉で言うと、涙が出てきた。これって戦争に反対するっていう、当たり前の気持ちだよなって。当たり前のことをなぜばかにされないといけないのかと思った。それ以降、沖縄のことで何かあったらできることをしようと決めた」

―講座でどんな話をしたいか。

「どの靴を履くのか、毎日考えること、毎日の選択の中にも女性差別がある。『#KuToo』運動をして感じたことや学んだこと、自分の実体験を話したい」

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いしかわ・ゆみ 1987年愛知県生まれ。2005年に芸能界入り。17年、性暴力被害を告発する「#MeToo(私も)」運動に共感し、芸能界での性暴力被害を実名で明らかにした。19年、職場でヒールのある靴の着用を強制する社会的な風潮に反対する運動として「靴」「苦痛」「#MeToo」を掛け合わせた「#KuToo」運動を始めた。同年、英BBC放送が世界の人々に感動や影響を与えた人を選ぶ「今年の100人の女性」にも選出された。