小さな島、飛び立つ無人機「逃げるところもなく恐怖」 日米共同演習、伊是名で初の訓練 沖縄


小さな島、飛び立つ無人機「逃げるところもなく恐怖」 日米共同演習、伊是名で初の訓練 沖縄 自衛隊員らが見守る中、訓練海域へ飛ばされた自衛隊無人機「スキャン・イーグルⅡ」=29日午前9時20分、伊是名村の場外離着陸場
この記事を書いた人 Avatar photo 玉寄 光太

 小さな甲高い音が響いていた。伊是名村の場外離着陸場の先端に設置されたカタパルトから、自衛隊の無人機「スキャンイーグルⅡ」は、ふっと空へと飛び立っていった。29日、伊是名村で初めて日米共同訓練。静かな訓練の始まりだった。 

 台風がフィリピン沖で発生し、伊是名村でも雨と強い風が吹き付けていた。午前9時20分、通信機器のトラブルで予定より遅れて、隊員らが見守る中で「発射」された。約2時間半の飛行後、戻ってきた機体は、島の上空を何度か旋回して、タイミングを見定めた。カタパルト近くに設置されたロープを張った装置に翼を引っかけて回収された。音もない飛行は「実戦」を想起させた。

 村によると、これまでも自衛隊単独の訓練は数回行われてきたが、日米共同での訓練は初めてだという。村民からは村内の安全や有事の際に狙われる危険性など、訓練を不安視する声などが聞かれた。

 スーパーで買い物をしていた40代の女性は、本紙の取材で訓練実施を知ったと驚きを見せた。「子どもたちは自転車で遊ぶことも多く、大きな車両が集落内を通るのは不安だ。訓練があるなら事前に説明してほしかった」と話した。

 村内企業で働く50代の男性は、「今までも自衛隊の訓練は実施されており、有事に備えることは必要だ」とした。

 その上で「戦争になって部隊が展開されると、ミサイルの標的になるのではないか。小さな島で逃げるところもなく、恐怖を感じる」と述べた。