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「自衛隊の本質変わらない」「小手先の対応」 牛島司令官の「辞世の句」削除 市民団体の受け止め


「自衛隊の本質変わらない」「小手先の対応」 牛島司令官の「辞世の句」削除 市民団体の受け止め 陸上自衛隊の第15旅団司令部(資料写真)
この記事を書いた人 琉球新報社

 陸上自衛隊第15旅団が公式ホームページから牛島満第32軍司令官の辞世の句を削除したことを受け、問題が表面化して以降、15旅団への抗議活動を続けてきた市民団体関係者からは「小手先の対応」との批判や「自衛隊の本質は変わらない」などの声が上がった。

 辞世の句の掲載に対する抗議声明を出した沖縄平和運動センターの岸本喬事務局長は「『削除』という小手先の対応では皇国史観に基づく軍隊の本質を変えることはできない」と批判。自衛隊の皇国史観に基づく沖縄戦賛美は「許されない」として、「あらゆる戦争策動に反対し、戦争を軍隊を拒否する」と語った。

 沖縄市平和ガイドネットワーク代表世話人の森根昇さん(83)は「キーン・ソードの実弾演習をはじめ、自衛隊は今、沖縄に部隊を配備し『本当に戦争が来るぞ』と大手を振って実戦訓練している状況で、その足かせにならないように取り下げたのではないか」と推察する。「本来ならば抗議を受けて15旅団はもっと早く降ろすべきであった」とし、「今になったことを考えると、戦争できる国づくりを進めるという、彼らの目的を達成するために自らの都合だけで決めているようにしか見えない」と批判した。

 県統一連の穴井輝明代表幹事は「県民の指摘を受けて、削除せざるを得なかったのだろう。県民を刺激しないよう、目隠ししているだけだろう」と推察した。辞世の句を削除しても自衛隊の本質は変わらないとし「沖縄戦の反省をきちんとすべきだ。人を美化するのが問題だ。戦争につながったものは排除して改めない限り、自衛隊は信用されない」と指摘した。

 (吉田健一、中村万里子、中村優希)