県は5日、子どもの権利が侵害された場合の救済機関の設置に取り組むことを明らかにした。県条例に基づいて第三者で構成し、子どもの権利の擁護に携わる。設置の方針を盛り込んだ県子ども計画(仮称)の素案を、県こども・子育て会議の「困難を抱えるこども部会」で示した。
いじめや体罰、虐待などの相談を受け付ける公的第三者機関は、専門家や弁護士らが「子どもオンブズパーソン」などの名称で活動。子どもの権利条約総合研究所によると、5月現在で50の自治体が設置しており、県レベルでは埼玉、秋田、長野、山梨の4県にある。
これまで沖縄にはなかったが、コザ高校の空手部男子生徒が自死した問題で、県が設置した第三者再調査委員会が子どもの相談・救済機関(子どもオンブズなど)の設置を提言。「子どものあらゆる権利侵害に対して、子どもが安心して相談できる体制を構築する必要がある」としていた。県議会にも設置を求める陳情が出ていた。
井上満男こども家庭課長は「既存の調査審議機関とのすみ分けなど課題を探り、救済の仕組みをつくりたい」と話す。
同会議のメンバーで、子どもオンブズパーソンの設置を求めてきた山野良一沖縄大学教授は「沖縄の学校の先生が、子どもともっと受容的に接するきっかけとなってほしい」と期待。オンブズパーソンについて「教員と生徒との間に立つ調整役になる」と説明した。
(宮沢之祐)