憲法研究者有志が27日に発表した緊急声明の要旨は次の通り。
岸田自公政権は県民の基本的人権を深刻に侵害し、地方自治を踏みにじる米軍(人)の行為に適切に対応しない一方、新基地建設を強行しようとしている。有志は政権に代執行訴訟を直ちに取り下げ、県民の基本的人権、平和主義、民主主義、地方自治の保障という(憲法の基本原理の)観点を念頭に、県との対話・解決を求める。
新基地建設は沖縄の負担軽減に逆行する。有事になれば必然的に攻撃対象となるなど、県民の平和的生存権も侵害される。平和主義とは相いれない。
県民投票は新基地建設反対が多数を占めた。新基地を造らせないのは県民の民意である。にもかかわらず、政権は強行姿勢を貫いている。何度も示された県民民意に反し強行する政権の対応は到底、正当化できない。
玉城知事が新基地建設に反対姿勢を貫くのは、知事選公約であり、県民の声を〕真摯がしん」し「に踏まえた結果である。政権は聞く力を発揮せず、憲法の基本原理を充実させるために必須である地方自治の保障を軽視・無視し、容認できない。
最高裁判決は、国交相の取り消し裁決の拘束力を根拠に、本来問われていた国交相の是正指示の適法審査を放棄するという、政府追随の姿勢が顕著な任務放棄の判決と言わざるを得ない。判決が承認を義務付けたと解するのは正確でない。
憲法が保障する地方自治は基本的人権の保障、平和主義、国民主権の実現に必要不可欠であるため手厚い保障が必要だ。地方自治の重要性から代執行はやむを得ない場合にしかできない以上、県側との真摯な対話などもせず、直ちに代執行訴訟といった強硬手段を取った政権の対応は、憲法の基本原理の実現のために必須の地方自治を軽視・無視するものとして断じて容認できない。
知事が承認しない判断は県民の民意を反映した住民自治を実践する対応で、政権は重く受け止めるべきである。
声明賛同者66人一覧(敬称略、10月27日時点)
青井未帆(学習院大)▽青野篤(大分大)▽麻生多聞(鳴門教育大)▽足立英郎(大阪電気通信大名誉教授)▽飯島滋明(名古屋学院大)▽井口秀作(愛媛大)▽石川多加子(金沢大)▽石塚迅(山梨大)▽石村修(専修大名誉教授)▽井田洋子(長崎大)▽稲正樹(元国際基督教大)▽植野妙実子(中央大名誉教授)▽植松健一(立命館大教授)▽榎澤幸広(名古屋学院大)▽大内憲昭(関東学院大名誉教授)▽大久保史郎(立命館大名誉教授)▽岡田健一郎(高知大)▽奥野恒久(龍谷大教授)▽奥田喜道(奈良教育大)▽小栗実(元鹿児島大教員)▽上脇博之(神戸学院大)▽河上暁弘(広島市立大)▽木下智史(関西大)▽君島東彦(立命館大)▽清末愛砂(室蘭工業大大学院教授)▽倉田原志(立命館大)▽倉持孝司(元大学教員)▽小林武(沖縄大)▽小林直樹(姫路獨協大)▽近藤真(岐阜大名誉教授)▽斉藤小百合(恵泉女学園大)▽笹沼弘志(静岡大)▽澤野義一(大阪経済法科大特任教授)▽清水雅彦(日本体育大)▽菅原真(南山大)▽芹澤齊(青山学院大名誉教授)▽高作正博(関西大)▽シ佐智美(青山学院大)▽高橋利安(広島修道大名誉教授)▽高良沙哉(沖縄大)▽多田一路(立命館大)▽建石真公子(法政大)▽常岡(乗本)せつ子(フェリス女学院大名誉教授)▽内藤光博(専修大)▽長岡徹(関西学院大名誉教授)▽中里見博(大阪電気通信大)▽中島茂樹(立命館大名誉教授)▽長峯信彦(愛知大)▽永山茂樹(東海大)▽成澤孝人(信州大)▽成嶋隆(新潟大名誉教授)▽二瓶由美子(元桜の聖母短期大教員)▽丹羽徹(龍谷大)▽根森健(埼玉大名誉教授、新潟大名誉教授)▽藤野美都子(福島県立医科大)▽前原清隆(元日本福祉大教員)▽松原幸恵(山口大)▽宮井清暢(富山大名誉教授)▽三宅裕一郎(日本福祉大)▽村田尚紀(関西大)▽本秀紀(名古屋大)▽山内敏弘(一橋大名誉教授)▽吉井千周(富山大)▽若尾典子(佛教大)▽脇田吉隆(神戸学院大)▽和田進(神戸大名誉教授)