玉城デニー知事は10日の定例記者会見で、名護市辺野古の新基地建設問題を巡り、政府が埋立承認申請前の2007年時点で軟弱地盤の存在や追加のボーリング調査の必要性を認識していたという報道について、沖縄防衛局に07年の調査報告書の提供を求めていると明らかにした。「報告書の記載を確認した上で、沖縄県としてどのような対応が取れるか検討していきたい」と話した。
松野博一官房長官が2日の会見で、13年の埋立承認願書に軟弱地盤の地層の存在を記載しているなどとして問題ないという認識を示している。これに対し玉城知事は「軟弱な粘性の土層を示す記載は今のところ確認できていない」と説明。願書提出当時から軟弱地盤の存在を把握していたのであれば「それを踏まえた適切な工事期間の設定について、沖縄県に対して十分に情報提供されていなかった可能性がある」と指摘した。
在沖米軍の幹部が、報道各社へのワークショップの際に軟弱地盤への懸念などを示したことについて、玉城知事は「県は、完了までに約12年を要する辺野古への移設は普天間の1日も早い危険性の除去にはつながらないと重ねて指摘してきた。在沖米軍幹部の発言が県が主張してきたことと近似していて注目するべきと考えている」と話し、政府に対しては工事を中止した上で県との対話に応じるべきだという考えを重ねて示した。
(沖田有吾)