prime

【記者解説】求められる実質審理 辺野古サンゴ訴訟が即日結審


【記者解説】求められる実質審理 辺野古サンゴ訴訟が即日結審 福岡高裁那覇支部(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 金良 孝矢

 名護市辺野古の新基地建設に向けたサンゴ類移植で、農林水産相が県に移植を許可するよう求めた是正の指示を巡る訴訟は14日、第1回口頭弁論で即日結審した。県と農相による主張の主な論点は、移植を許可しなかった県対応や農相の是正指示の適法性。そして9月の最高裁判決の妥当性だ。裁判所は県の主張をむげにしない実質審理が求められる。
 
 9月の最高裁判決の訴訟では、国土交通相が県に大浦湾側の変更申請を承認するよう出した是正指示の適法性などが争われた。高裁は県の不承認の適否を判断した一方、最高裁は是正指示前に出された国交相の裁決に県は従って承認する義務を負うと判示した。最高裁判決を巡っては地方自治体の裁量を狭めるものとして、行政法や憲法学者から強い批判が出ている。

 サンゴ訴訟で農相はこの最高裁判決を持ち出し、県の移植不許可を取り消した農相の裁決に従わず許可しない県の違法性を指摘している。対する県は裁判所に、最高裁判決が示す裁決の拘束力よりも、具体的な法令違反の有無を判断するよう求めている。

 県の裁量を狭めて国と地方の対等関係を否定するのか、それとも県や農相の適法性判断の中身に入るのか。裁判所がどちらに重きを置いた判決を出すのか注目される。
 (金良孝矢)