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【記者解説】オスプレイ、「欠陥機」強まる懸念 機体の問題、強く示唆 全機停止は重大事象か


【記者解説】オスプレイ、「欠陥機」強まる懸念 機体の問題、強く示唆 全機停止は重大事象か カバーなどが付けられたまま、米軍普天間飛行場に駐機されたMV22オスプレイ=7日午後0時10分、宜野湾市(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 知念 征尚

 鹿児島県・屋久島沖で米空軍の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイが墜落する事故から1週間以上がたち、米軍は海兵隊仕様のMV22を含めた全てのオスプレイについて飛行停止を決めた。米軍は事故調査の初期情報として機材に不具合があった可能性があると説明。これは、事故がパイロットの操縦など人為的なものではなく、機体そのものに問題があったことを強く示唆する。かねて「欠陥機」と指摘されてきたオスプレイに対する懸念はさらに強まっている。

 米軍は今回、オスプレイを全世界で一斉に飛行停止とする措置に踏み切った。昨年8月、クラッチに問題がある可能性があるとして空軍がCV22全機の飛行を止めた際も海兵隊のMV22は飛行を継続した。当時と比べても、今回の対応は原因が機体に関わる重大事象が確認された可能性を浮かび上がらせる。

 昨年6月、米カリフォルニア州で発生した墜落事故の報告書では「ハード・クラッチ・エンゲージメント(HCE)」と呼ばれる、オスプレイのクラッチ特有の不具合があったことが判明した。米軍は部品交換をしたとするが、根本的な原因は現在も不明なままだ。

 今回の事故では墜落時にエンジンから出火していたとの目撃情報がある。防衛省によると、クラスAに分類されるオスプレイの重大事故のうちエンジンから出火があった事故は2件あるが、墜落に至った事例はこれまでなかった。クラッチかほかの問題があるのか不透明だ。

 今年に入ってオスプレイ墜落で亡くなった人数は8月にオーストラリアで3人が亡くなった事故と合わせて11人となり、昨年の9人を上回った。

 オスプレイの沖縄配備当初に一部で言われた、訓練を重ねれば事故は減るとの期待はもろくも打ち砕かれている。

 原因究明と再発防止策を明確に示し、県民の理解を得ない限り、飛行再開は許されない。

 (知念征尚)