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玉城デニー知事に聞く 辺野古移設問題、沖縄振興のあり方は?<2024年新春インタビュー>


玉城デニー知事に聞く 辺野古移設問題、沖縄振興のあり方は?<2024年新春インタビュー> 玉城デニー知事
この記事を書いた人 Avatar photo 沖田 有吾

 新型コロナウイルス禍が収束し、沖縄経済が本格的な回復に向けて力強く動き出した。人の往来が活発化し、社会は活力を取り戻しつつある。一方で、多くの米軍基地が集中する過重な基地負担は変わらず、さらに自衛隊と米軍の一体化や南西諸島の軍備強化が進み、港湾や空港など民間インフラの軍事利用を促進しようという動きも強まってきている。玉城デニー知事に2024年の展望などを聞いた。

 ―代執行訴訟で敗訴し、国は設計変更の承認を代執行した。

 「沖縄の苦難の歴史と基地の整理縮小を求め続けている県民の願いを鑑みれば、国の代執行は県の処分権限を奪い、自主性や自立性を侵害して新たな軍事基地を建設しようとするもので、多くの県民の負託を受けた県知事としては容認するわけにいかない。政府には対話による解決を求めていく。辺野古への移設は10年以上の歳月を要する。われわれは普天間飛行場の一日も早い危険性の除去を求めている」

 ―自衛隊の配備強化が進んでいるが。

 「自衛隊は防衛任務に加え、多くの離島を抱える沖縄では、緊急患者の空輸や災害救助など大きく貢献している。他方で米軍基地に加え、自衛隊の急激な配備拡張による抑止力の強化はかえって周辺地域の緊張を高め、それによって不測の事態が生じることは絶対にあってはならない。米軍基地縮小が遅々として進まない状況で自衛隊配備が重なると、県民からすれば軍備増強の一環というイメージが先行し、不安が生じることも否定できない。十分な事前説明と、常に自治体や住民と協議する場を設けることが非常に重要だ」

 ―沖縄振興の在り方をどう考えるか。

 「例えば揮発油税の軽減措置については、離島の住民の生活をより安定させることに貢献できている。島しょ県という不利性から考えると、これまでの軽減措置の延長ではなく、軽減措置の立法化を含めた恒久化を図っていくことも重要な視点だ。政府、財務省への提案も含め、協議を進めていきたい」

 ―23年は県庁の不祥事やミスが相次いだ。どう信頼を取り戻すか。

 「非常に大きな不安を与えてしまい、心からおわびする。県庁の内部統制を徹底した上で、DX化を推進する上でチェック精度を高めるためのソフト導入なども併せて複合的に進めていく」

 (沖田有吾)