防衛省がうるま市石川に陸上自衛隊訓練場建設を計画している件で、地元の旭区自治会は住民の全会一致で計画反対を決議し、うるま市議の中でも計画実現の困難さを指摘する声が上がるなど、市内で反対の機運が高まっている。
一方、防衛省は3月中に陸自勝連分屯地に地対艦ミサイル配備とミサイル連隊本部の新編を予定しており、部隊増加に伴う訓練場の必要性を強調。「計画を取り下げることはない」と強硬な姿勢を見せる。
■市議「メリットない」
旭区は保守地盤で住民の一人によると「自衛隊の活動に理解がある人はいる」という。全会一致で計画の反対が決議されたのは「予定地は住宅に近い。『なぜこの場所に』という思いが強い」との見方だ。
訓練場は東山カントリークラブ跡地を予定している。近いところでは片側一車線の道路を挟み住宅がある。国道331号から訓練場予定地へ向かうには住宅地を通る必要もある。
市議会でも反対は広がっている。野党の国吉亮市議は「訓練場建設は地元にメリットがなく不安しかない。強く反対する」と話した。与党市議の一人も「建設予定地には少年自然の家もあり反対だ」とした。
別の与党市議は「賛否については判断材料を集めている」とするも「住民の意見が一番。実現は厳しいのではないか」と指摘する。
■「交渉」への影響を懸念
地元で広がる反対の声に、防衛省関係者は「(反対の高まりで)土地の取得交渉に影響が出ると困る。部隊が増えるのに訓練ができなければ機能せず、防衛の役割を果たせない」と話した。「運用が始まれば生活環境に影響が少ないことは分かってもらえるだろう」と語るが、いったん土地が防衛省所有となれば「機能強化」されやすくなる。
与那国町には2016年、与那国駐屯地を開設して沿岸監視隊を配備したが、22年末になって地対空ミサイル部隊の追加が明らかになった。沖縄本島に陸自の補給拠点を造る計画でも、もともと訓練場のある沖縄市池原が選ばれた。
うるま市では勝連分屯地への地対艦ミサイル配備、ミサイル連隊本部新編を控えている。加えて市石川で陸上自衛隊の訓練場が完成すれば、市内住民の負担は大きく増すこととなる。
(金盛文香、明真南斗)