有料

【深掘り】小さな県土、土地規制法で負担さらに 県「必要最小限」を強く要請 基地返還地まで対象に


【深掘り】小さな県土、土地規制法で負担さらに 県「必要最小限」を強く要請 基地返還地まで対象に タイヨーゴルフクラブ=2021年12月撮影(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 沖田 有吾

 沖縄本島の米軍基地・自衛隊施設の周辺など県内31カ所が選ばれた土地利用規制法の区域指定を巡り、県が31日に内閣府宛に提出した意見は、決して広くない県土の多くを米軍基地や自衛隊基地が占める沖縄にとって、区域指定が新たな基地負担を強いるという法の成立前からの懸念を指摘している。

 沖縄市とうるま市にまたがる米軍保養施設「タイヨーゴルフコース」として提供されている敷地、キャンプ瑞慶覧の一部で返還の前に緑地公園として近く一般の利用が始まろうとしているロウワー・プラザ地区について、意見で同法の「我が国を防衛する基盤としての機能」に該当するとは考えられないと指摘。これらの周辺の敷地まで特別注視区域とされていることは「到底必要最小限度のものとは言えない」として、範囲の見直しを求めた。

 在日米軍専用施設面積の70・3%が沖縄に集中し、広大な米軍基地が県土の有効利用の阻害要因となっている状況の中で米軍基地の周辺を注視区域、特別注視区域に指定することについて「さらなる負担を強いるものであるとして、極めて強い反対意見がある」と指摘。国に対して最大限地域の実情を踏まえて対応するよう求めた。

 那覇港湾施設(那覇軍港)や、牧港補給地区(キャンプ・キンザー)、普天間飛行場など今後返還が予定されている米軍基地周辺の地域について、部分返還も含め返還された場合に速やかに注視区域の変更などができるような体制の構築も求めた。

 領土から12カイリ(約22キロ)の領海設定の基準点となる「領海基線」の周辺として示されている本島南部の注視区域などの中に、糸満市の平和祈念公園など、沖縄戦の激戦地が含まれていることについて「法についてさまざまな意見がある中、機能阻害行為を防ぐ上で、こうした地域を指定することが真に必要不可欠か再考してほしい」と指摘した。

(沖田有吾)