【東京】人体に有害なポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物を巡り、環境省が北海道室蘭市の高濃度PCB処理事業所に、日本政府が処理費を肩代わりする在沖米軍分を受け入れてきた北九州市の処理事業所から廃棄物移送を求めている件で、伊藤信太郎環境相は20日、在日米軍分を含めないと明らかにした。
伊藤氏は、記者団から、北九州から室蘭への移送を要請するPCB廃棄物のうち、在日米軍分の対応を問われ「防衛省の責任でしっかり処理しているものだと認識している」と強調。「関係省庁と連携して対応について米国と協議している」とした。
こうした環境省の方針は22、23日に室蘭市で開く住民説明会でも説明するとしている。環境省の担当者は、在日米軍のPCB廃棄物について、室蘭とともに残存する東京への搬入についても「想定していない」とした。
一方、在日米軍基地内から新たに高濃度PCB廃棄物が見つかった場合の対応について、防衛省の茂木陽報道官は20日の記者会見で「環境省をはじめとした関係省庁の間で、引き続きあらゆる選択肢を念頭に米側と協議している」と説明。防衛省による引き取りも否定しなかった。
高濃度PCB廃棄物を巡っては、在沖米軍分も含む沖縄分を受け入れていた北九州市の処理事業所が3月末で閉鎖することを受け、同省が室蘭市に今後の発生分の受け入れを要請していた。処理事業所は国内5カ所で、このうち北九州を含む大阪、豊田の3事業所が3月末で閉鎖。残りの室蘭、東京事業所が2026年3月に終了予定とされる。(安里洋輔、明真南斗)