沖縄県企業局は、有機フッ素化合物(PFAS)濃度の高い比謝川からの取水を、28日にも再開する方針を固め、受水自治体などに説明した。中部水源の中でも、文字通り桁違いにPFAS濃度が高い比謝川からの取水については、県民の懸念に配慮して可能な限り避けてきた。だが、少雨が続き11ダムの貯水率が過去10年間で最も低かった44・3%を下回ることが確実となり、断水の回避を最優先に再開せざるを得ない状況となった。
企業局は11日から、PFAS汚染対策で取水を停止していた中部水源のうち、比較的PFAS濃度の低い嘉手納井戸群と天願川からの取水を再開した。19日の検査で、天願川からは1リットル当たり45ナノグラム、嘉手納井戸群からは同30ナノグラムが検出された。北谷浄水場に届く段階では他の水源からの水と合流して希釈され、高機能活性炭による吸着によって浄水としては同1ナノグラム未満まで低減している。3月上旬からは工事を終えた長田川からも取水を再開する予定だ。
比謝川は、1月24日の検査で、国の暫定目標値(1リットル当たりPFOSとPFOA合計で50ナノグラム以下)を上回る152ナノグラムが検出された。企業局の予測では、取水再開後、北谷浄水場に届く段階で同26ナノグラム程度となり、さらに高機能活性炭で低減される見込みだ。浄水後の予測値は現段階では示せないが、取水再開後も毎週検査し、ホームページなどで公表する。
石新実企業局技監は「比謝川は(PFASの)濃度が高い水源だが、高機能活性炭での除去によって、浄水では国の暫定目標値を大きく下回る。安心してほしい」と話した。説明会に参加した宜野湾市上下水道局の担当者は「企業局からは必要な情報をもらえている。市民に丁寧に説明していきたい」と話した。
一方、節水の効果は現れていない。沖縄渇水対策連絡協議会で節水を呼びかけを決めた1月16日の前後で、1日の配水量には大きな変化はない。1月15日までの1カ月は平均で42万8千立方メートル、1月17日~2月18日は平均42万5900立方メートルで、いずれも平年値を2%上回る。企業局は今後、街頭キャンペーンなどでさらに節水を呼びかけていく方針だ。
(沖田有吾)
沖縄本島のダム貯水率、「過去10年で最低」の更新確実 PFAS濃度が高い比謝川からの取水再開、余儀なく
少雨によって沖縄本島内の11ダムの貯水率低下が続き、まとまった雨が降らなければ28日にも過去10年間で最低を更新することが確実な状況となっている。この状況を受 …