少雨によって沖縄本島内の11ダムの貯水率低下が続き、まとまった雨が降らなければ28日にも過去10年間で最低を更新することが確実な状況となっている。この状況を受けて沖縄県企業局は、有機フッ素化合物(PFAS)濃度の高い比謝川からの取水を28日に再開する方針を固めた。
26日に受水自治体に方針を説明し、27日には沖縄総合事務局や県などでつくる沖縄渇水対策連絡協議会に提案して最終決定する。
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貯水率は26日午前0時時点で44・7%となり、28日には過去10年間で最低だった2018年6月14日の44・3%を下回る見込み。今後も少雨傾向が続けば、3月12日ごろに40%を、4月11日ごろには30%を下回ることが予想される。
10ダム体制時に作られた渇水協の事前行動計画では、3月で貯水率が20~25%、4、5月で15~20%となった段階を夜間断水の目安としているが、関係者は「あくまでも目安で、気象状況などによってはさらに早い段階での給水制限(断水)も検討しないといけない」と指摘する。
県企業局は給水制限(断水)を実施する貯水率の目安について「今のところ置いていない」とする。ただ、少雨が続けば、多くの観光客が訪れ水の需要が増える大型連休の前ごろにも、夜間断水を余儀なくされることが予想されるという。
企業局の検査では、比謝川からは国の暫定目標値(1リットル当たりPFOSとPFOA合計で50ナノグラム以下)を上回るPFASが検出されている。企業局の予測では、北部からの水と合わさって希釈され、北谷浄水場に入る段階では同26ナノグラム程度となり、さらに高機能活性炭での除去によって低減される見込み。浄水の予測値は現段階ではないが、取水再開後も毎週検査し、ホームページなどで公表する。
(沖田有吾)