与野党の議席拮抗、条例改正など議論が白熱 <県議の仕事(下)1/2>


与野党の議席拮抗、条例改正など議論が白熱 <県議の仕事(下)1/2> 沖縄県議会の議会棟(資料写真)
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 第14回県議会議員選挙は6月7日告示、16日に投開票される。2018年10月の玉城県政誕生以降、県議会は与党多数が続いているが、今期4年間の県議会は、定数48のうち、議長を除き与党が24議席、野党・中立が23議席と、きっ抗している。知事に対する問責決議案や水道料金の値上げを巡る条例改正案など、与野党の白熱した攻防があった。4年間の県議会の主な動きを振り返る。(’24県議選取材班)

与党「ヘイトに歯止め」【県差別ない条例】

 県議会は2023年3月の本会議で、「県差別のない社会づくり条例」案を、賛成多数(賛成29、反対18)で可決した。公共の場やインターネット上での差別的言動(ヘイトスピーチ)の解消を図ることを目的としたもの。

 与党議員からは、条例に罰則がないことへの不十分さを指摘されたものの、施行後の運用強化により「ヘイトスピーチや憎悪の扇動に歯止めを掛けることができる」と評価する声があった。

 野党・自民の18人が反対した。3年をめどに同条例の検討を行う規定を定めたことから「現時点で県が不完全だと認めている」という意見や、沖縄県民への誹謗(ひぼう)中傷は「全国どこにもあるネット社会の根本的問題で沖縄差別とするのは早計」との声が上がった。

野党、辺野古訴訟で追及【知事への問責】

 2023年9月定例会本会議で、野党・自民が玉城デニー知事に対する問責決議案を提案した。野党・中立の23人が賛成したが、与党24人が反対し、賛成少数で否決された。

 問責決議案では辺野古新基地建設を巡る代執行訴訟に応訴した玉城知事の判断や、特別会計の22年度決算が地方自治法違反の「赤字状態」となった問題、沖縄関係予算の減額などを追及した。

 野党・自民は「行政の基本中の基本である法律や制度の理解を深めるためのキャリア育成がなされていない」と指摘し、県政運営を批判した。

 一方、与党は「(沖縄関係予算減額の)説明責任は、予算を差配する政府にも求められる。知事一人に非があると決めつける問責の趣旨には賛同できない」と反対した。

野党 負担増を問題視【水道料金改正】

 県内29市町村に水を供給する県企業局が、市町村への水道料金を10月から段階的に引き上げる条例案について、県議会は2023年12月の本会議で、与党議員の賛成で可決(賛成24、反対23)した。水道料金は10月から段階的に引き上げられ、26年4月からは現行料金から3割の値上げとなる。市町村の判断で変動もあるが、同時期から家庭の水道料金が月額約千円値上げされる可能性もある。

 23年12月の本会議で与党は円安を背景とした電気代高騰により「現状のままでは施設の管理に支障が起こり、県民への安心・安全の水を提供することが困難になる」などと主張し、賛成した。

 一方、野党・中立は県は交付金や国庫補助金を獲得する努力を怠ったとして「コロナ禍に次ぐ物価高にあえぐ県民に対し、理解を求めるのは困難。与党は県知事を守るより、県民生活を第一に守るべき」などと主張し、反対に回った。

与党、予算削除の動議を否決【ワシントン駐在】

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を阻止しようと、県が2015年度に設置した米ワシントン駐在について、野党・自民は運営予算を削除する修正動議を毎年の当初予算審議で提案している。

 与党は毎回の修正動議に反対して、予算原案を成立させ、駐在を存続させてきた。仮に今回の県議選で野党系が多数を占めると、ワシントン駐在は廃止される可能性がある。

 修正動議が提出された23年度当初予算案の審議では、自民県議は「知事の『辺野古に絶対基地をつくらせない』とする公約実現に、ワシントン駐在はその役割を果たしているとは言い難い」と指摘した。これに対し、与党は「沖縄の民意を伝え、情報をリアルタイムで適切な場所へ提供し続けることこそ沖縄の未来への扉だ」と駐在の必要性を訴えた。修正動議は賛成少数で否決された。