県政運営を点検、監視 執行部と議会「車の両輪」<県議の仕事(上)の1/2>


県政運営を点検、監視 執行部と議会「車の両輪」<県議の仕事(上)の1/2> 沖縄県議会(資料写真)
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 6月7日告示、16日投開票の県議選を前に、72人の立候補予定者が各選挙区を奔走している。この県議会議員とはどのような仕事なのか。県議の果たす役割や県の執行部との関係を説明する。また気になる議員報酬や所得を示し、県議の実像に迫る。 (’24県議選取材班)

 県議会は県の執行部が提出する予算や条例、幹部人事などの議案審議を通じて知事の県政運営を点検、監視するという重大な役割を担う。議会は県政の方針を議決することから、意思決定機関とも位置付けられている。議会と知事などの執行部との関係はしばしば「車の両輪」に例えられる。

 沖縄県議会は、与野党を問わず、議員が議案の中身や県の姿勢をただす代表質問や一般質問が活発だ。米軍基地問題をはじめ、県民の関心が高く、与野党が対立する案件が多い。本会議や委員会が夜にずれ込むこともあり、他府県の議会には見られない特徴とされる。

 与党多数の場合、執行部にとっては、予算や条例を通しやすい環境にあると言えるが、議会が行政の「追認機関」と批判されることもある。

 現在の県議会は定数48のうち、議長を除いて与党24、野党18、中立5議席で、与野党の議席はきっ抗している。県議選の結果は今後の県政運営にも大きく影響する。与野党の構成比が最大の焦点だ。

住民の意思、行政に反映 【議案審議】

県民の代表として選ばれた県議(定数48)は、県庁や県警などの県執行部が提案する予算や条例などの議案を審議し、住民意思を行政に反映させる役割がある。

 県民は誰でも行政に対しての要望を、請願、陳情として県議会に提出できる。県民の要望等を反映させるための大切な制度だ。要望を受けた議会は県民に代わって議論、採択し、県執行部に向けて提言する。2023年は209件の請願・陳情が付託された。

 県議会では議案などを専門的、効率的に議論するために委員会制が採用されている。分野ごとの各委員会で議案や請願、陳情の内容を事前審査する。委員会で審議して出した結論は、議員全員が議席を持つ「本会議」で報告され、質疑や討論を通して正式決定する。

 県議会には、医療福祉や男女共同参画などを話し合う「文教厚生」、産業全般や労働問題などの分野を担う「経済労働」など四つの常任委員会がある。ほかにも議会運営そのものを話し合う「議会運営委員会」もある。

 特別委員会は米軍基地問題などに特化した「米軍基地関係」など3委員会が設置されている。

県の考え、取り組み聞く 【一般・代表質問】

 県議会議員の仕事の一つに「一般質問」と「代表質問」がある。代表質問は各会派の代表者が、一般質問は質問を希望する各議員が行う。議員らは、県執行部に対して、経済や教育、基地問題などの課題について質問し、県の取り組みや考え方を聞く。

 議員らは議会の開会前にあらかじめ県執行部に質問内容を伝え、質問を行う(通告)。県執行部は通告に従って答弁を作成し、議会当日に読み上げる。議員は答弁を聞いて追加質問することもできる(再質問)。県民の代表として県政のチェック機能が求められる議員らにとって、県執行部から有意義な答弁を引き出せるかが腕の見せどころだ。

 この4年間での議員の質問回数は、議長と辞職した議員1人を除き、2022年9月の補欠選挙で当選した議員1人を含めた47人で計641回。議員1人当たりは平均13.6回だった。

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