県は、中学生の給食費無償化支援事業について、全市町村に一律で半額相当分を補助する方針を決めた。居住市町村にかかわらず、保護者負担が少なくとも半分になることは確実となった。ただ、市町村側としても財政に余裕はなく、玉城デニー知事が公約に掲げた「学校給食の無償化」を将来的に小学生も含めた義務教育全体に広げていくためには、国の取り組みが不可欠と言える。
県は事業を検討する際、第3子以降を対象とする案や小学校の低学年を対象とする案なども検討したが、事務負担や年齢の低い層から始めると支援から漏れる人が多くなることから中学生を対象とした。国の動向が明らかにならない中で、制度の継続性という観点と、県のみではなく国や市町村も関わるべき課題という考え方からどの案でも支援額は2分の1を想定していたという。
学校給食法では、食材費は原則保護者が負担すると定められている。県の当初案は、現状で独自の無償化をできていない市町村にとっては保護者が支払っている分の半額を新たに負担する必要があった。財政が厳しい中で多額の負担をすることに、子どものいない人や子育てを終えた人も含め住民全体の理解が得られるのかは未知数だ。
給食無償化は、現状でも実現できている市町村とそうでない市町村での格差がある。子育てを社会全体で支援するという観点からは、国が全国的に支援をし、足りない部分を県が、さらに残りを市町村が負担するなどして、持続的な支援制度となることが求められる。
(沖田有吾)