沖縄県が2025年度からの開始を予定している県内市町村立・県立中学校に通う中学生の学校給食費無償化事業について、玉城デニー知事は13日、全面無償化をしない市町村も含めて全41市町村一律に半額を補助する方針を明らかにした。
玉城知事は取材に対し「公平な支援という観点から、まず2分の1(の負担)を県がやるところからスタートした方がいい。公平に支援するため、立ち位置、原点から行いたい」と話した。
県は当初、全面無償化する市町村に限り半額を補助する計画を発表していたが、市町村側からは財政負担が増加するスキームや、発表が突然だったことなどに反発も生じていた。
県教育庁は12日、各市町村教育委員会に、市町村の取り組みにかかわらず就学援助対象者を除く中学生の給食費の2分の1相当額を補助すると通知した。
玉城知事は5月24日の定例記者会見で、県内中学生の給食無償化支援事業について発表。保護者への実態調査から、高校進学を控えた中学生のいる世帯では教育費に重い負担を感じていることなどから、まず中学生の給食費無償化に取り組むことを決めた。全面無償化に必要な額は約20億円で、うち10億円を県が、残りを各市町村が負担する内容だった。
5月時点で県内17市町村が独自に給食費を無償化し、18市町村が一部を助成している。学校給食法では、食材の購入費は保護者が負担すると定められている。このため、県の当初案では、現時点で無償化できていない市町村にとっては保護者が支払っている分の半額を新たに負担する必要があることから、「無償化できる市町村とできない市町村で新たに地域格差が生じてしまう」などとして、見直しを求める声が上がっていた。
県市長会は6日、玉城知事に対して「財源の2分の1負担を求める市町村に事前の調整もなく一方的かつ唐突に決定し、発表したことは非常に残念であり到底受け入れられるものではない」として、全額県負担での無償化を要請していた。
県教育庁は詳細な制度設計について「市町村との意見交換を踏まえ検討を行っていく」としている。17日以降、各圏域別に市町村に対する説明会を行う予定という。